※静→(←)臨


























この感情は何だろう。身体の奥底から湧き出る黒くドロドロとしたもの。イライラというか、ムカムカというか。




静雄にはこの正体がわからなかった。

















「ドータチン!!寒いよぉ!」

臨也の声が耳に入る。
また池袋にきやがったな、と静雄は傍にあった標識を引っこ抜いた。

「あの糞ノミ蟲、ぶっ殺す・・・」

ふと顔を上げると、まっさきに臨也の笑顔が目に入った。自分に向けるものとはまったく違う。相手が門田だからだろうか。しかも臨也は門田の手を握っている。


それを見た途端、静雄はいつの間にか立ち止まっていた。身体中に沸き起こっている苛立ち。なぜだかわからない。臨也の笑顔を見て、無性に腹がたった。

「ちっ・・・なんなんだよ」

臨也をぶっ殺す前にこの意味のわからない感情をどうにかしなければ。

静雄はもと来た道を引き返す。





そんな静雄を、臨也は見ていた。気付いていた。

門田に抱き着きながら、いつ静雄がこちらに来るのか、来たらどうしようかなどと考えていた。が、静雄は現れず、引きかえしていく。

「どうしたのかな、あいつ」

ふと呟くと、門田も気付いていたのか静雄のほうを見る。

「珍しいな。静雄が何もせず帰っていくなんて」

門田も不審に思ったのだろう。

おかしい。絶対におかしい。
一度気になり始めると、もうそのことしか考えられなくなる。

「・・・ドタチン、また今度遊ぼ。今日はもう帰るよ」

「あぁ。静雄が気になるんだろ?」

「そんなんじゃない!ただ、おかしいから、ちょっとからかいに行くだけ」

臨也はそう言い放つと、静雄を追って人混みの中に消えてゆく。

「素直になりゃいいのにな・・・」

門田の呟きは、臨也には届かなかった。





















「はぁ・・・」

静雄は人気のない寂れた倉庫で一服していた。しかし、まったく気分が落ち着かない。

「なんだってんだよ、ったく」

「何が?」

自分のものではない声に、静雄は驚き振り返った。そこにはじっとこちらを見る臨也がいた。

「な、なんでてめぇがここにいるんだよ!」

「別に俺がどこにいたって、俺の自由だろ?」

「・・・ちっ」

今1番会いたくなかった。
この場から逃げだしたい。止まらない。
いらいらいらいらいら。

「ちょっとシズちゃん。何黙りこくってるの?」

「・・・・・・」

静雄の静かさに、さらに疑問が募る。

「・・・もうなんなの?あのままドタチンといたほうがよかった」

ため息をつきながら静雄のほうを見ると、いきなり迫られて腕を捕まれた。

「な、なにっ」

「お前さぁ、門田に迷惑だと思わないのか?」

「へ?」

「いっつもいっつもドタチンドタチンって。門田に頼りすぎだろ。今日だって、寒いから暖めてやらなんやら言いやがって」

「・・・見てたんだ。別に、シズちゃんには関係ないだろ」

「・・・っ」

ダンっと大きな音が響き渡る。臨也は壁と静雄に挟まれ、身動きがとれなくなった。

「ちょっとなんでいきなりキレるの?どいてよ」

近い。ものすごく顔が近い。
臨也は鼓動が今までにないくらい早くなっているのを感じた。

「俺が、」

「ん?」

「俺がいる、だろ」

「・・・え」

「俺にだって、お前をあっためることくらい、できる・・・」

静雄の声はどんどん小さくなってゆく。顔も真っ赤だ。しかし、臨也もみるみるうちに同じくらい赤くなる。

「え、ドタチンの代わりに、シズちゃんを頼ってもいいわけ?」

臨也の声に、ピクっと静雄の身体が揺れる。

「・・・あぁ」

少し小さかったが、しっかり肯定した静雄の声。静雄は臨也に手を差し出した。顔をあげると、臨也と目が合う。

「・・・ありがとう、シズちゃん」

差し出された手をとって、ギュッと握る。暖かくて、心地よい。

臨也の顔には、やさしい微笑みが浮かんでいた。心底うれしいというように。









二人の間を、暖かい風が過ぎ通った。








春はもうすぐ。
























温もりと共に

(想いも届けられたら、)































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あと一週間でデュラ×9の発売というわけで、シズイザをうPww

めちゃくちゃになったが(泣)←
新刊にもシズイザな絡みがあればいいなwww


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