君のその手を | ナノ


▼ 眠気の先には君がいて

「寝るんじゃねェ」
「イタッ」

ガヤガヤと煩いこの教室の中、相も変わらずカラスは寝ようとしていた。が、それも叶わずサスケに頭を叩かれた。ぺしっ、と軽い音ではあるが、やはり男の子。軽くても目は覚めた、カラスは叩かれた場所を擦りながらサスケを見た。

「定位置ばっかり叩かれると腫れそう」
「寝ようとするお前が悪い。…それに、今日は寝てられねーって何回言ったと思ってやがる」
「サスケが寝かせてくれなかったのが悪い」
「フン、あれくらいでも十分寝れる」

平然と二人は淡々と話してはいるが、この会話が聞こえた周りはもしかしたら誤解を生むかもしれない。いや、今カラスがいるこの教室にはサスケを好きな女子は殆どなのだ、この会話を聞けば気になる。けれどサスケとカラスはそんなことは気にしない。

「あの二人って…」
「でも、いくらあの二人でも…」
( 気になる…! )

ふわりふわり。これはいかん、寝不足のせいで寝そうなカラスにサスケは目を光らせ、寝る態勢に入ったと思えば叩く、これが暫く続き、漸く目は覚醒してきた。するとぼやけた視界には、あの落ちこぼれた金髪の少年がいるではないか。カラスは驚いた、うずまきナルトは卒業試験に落ちたような気がした、と。

「ナルト、どけ!私はアンタの向こう側に座りたいのよ!」
「え?」

怒鳴る少女の声が耳に入ればカラスはびくりと肩を震わせた。その声の主は、何かとサスケと一緒にいようとする春野サクラの声で、カラスの苦手人物であったからだ。

「サスケ、狭いと思うから移動する」
「は?お前何言って、」

じゃ、と言ってカラスは逃げるように席を立ちそのまま上へと上がる。カラスは人見知りの上、苦手と思えば例えサスケの隣であろうとすごく逃げたくなる。正当な理由がなければすぐ捕まってしまうが、今回はサスケの言葉を遮って来たわけですぐ逃げられた。けれど、4人でも勿論狭いなんてことはないわけで。

―…ごめん、サスケ

カラスは心の中で謝った。

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[ bunki ]



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