外があたたかくて気持良さそうだから今日の昼食は中庭で食べましょう、ってビビが提案したから、ただいま中庭で焼きそばパンを頬張ってます。うん、うまい。

「ナミさん、ちゃんと栄養のあるものを食べるべきよ」

「なんかビビってお母さんみたい
成長期はなにたべても栄養になるのよ」

「もう、いつもそればっかり
私の弁当分けてあげるから」

そう言ってビビはいつも弁当を分けてくれる。
しかもこれがすごくおいしい。
やっぱり持つべきものは面倒見がいい親友よね。

「うーん、一家に一台、ビビがほしいわね」

「私は家電じゃないわ」

「お嫁さんにしたいくらいってことよ」

「じゃあ誰にももらわれなかったら、ナミさん責任とってね」

「ビビなら余らないって」

中庭でぽかぽか陽気に当たりながらおいしいご飯を食べる。
今日も平和ねー。
満ち足りた気分でぼんやりと向かいの渡り廊下を眺めていたら、見覚えのあるシルエット。
すらっとした長身の麗しいあの人は、ロビン先生っ
渡り廊下を歩く姿も様になるなあー。

「ナミさん、頬がゆるんでる」

ビビが怪訝そうに見つめてくるけど、これはしょーがない。
はあ、うっとり。
って隣にいるのだれよー!!!!!!

「あのゴツくてむさ苦しいのは体育のフランキーっ」

きいーっ なんで二人で仲良さげに歩いてんのよ!!

「ああほんとだ
ロビン先生とフランキー先生だわ」

ビビがのんびりとそう言うけど、あたしにとっては一大事なんだからっ
しかもロビン先生ニコニコしてるし、フランキーはデレデレしちゃって。

「あの二人、付き合ってるって噂を聞いたけど本当かしら?」

はあ!!!!!!!
付き合ってる?????
いったいどーゆーことよそれっ
思わず一瞬フリーズしちゃったじゃないの。
この前、恋人はいないってロビン先生言ってたのに。
質問したのが生徒だったからうそついた、とか。
フランキーが恋人、絶対ないわ。
だってあいつ水泳のとき、体にものすごくフィットした黒いブーメランパンツ穿いてきたのよっ
変態すぎるわっ
そんなのがロビン先生の恋人だなんて。
いーやーだー。許さんっ

「ナミさんどうしたの?
顔色が悪いわ」

「ちょっと生理的な拒絶反応がね…」

「え?」

あーなんだか本当に頭が痛くなってきた。

「ごめんビビ
ちょっと保健室行ってくる」

「大丈夫?
ひとりで行ける?」

「うん、ありがとう」

ふらふらしながら歩いて保健室のドアをノック。

「せんせー寝かせてー」

「あらナミ、久しぶりね」

爪にマニキュアを塗りながら、保険医のポーラ先生があたしを見るなり、にやりと笑う。

「最近ぱったりと来なくなったと思ったけど、やっぱりサボり癖はなかなか直らないみたいね」

たしかに保健室は非常階段と同じくらいの頻度でサボり場所に使ってたけどさ。

「先生こそ、相変わらず仕事してないじゃん。
それにちょっと衝撃的なことがありすぎてほんとうに頭痛いの」

「なに? 衝撃的なことって」

「べつになんでも「じゃあ寝かせてあげない」

ひどいっ
よくこんな人が保険医になれたわね。

「あ、あれよ
ロビン先生とフランキーが付き合ってるって聞いてショックだったの」

「え? ナミってフランキー先生が好きなの?
……物好きなのね」

ちーがーうーわっ
違うけど、すっごいむかつくけど、あえて誤解はそのままにしておこう。

「先生、あの二人についてなにか知らない?」

「そうねー
ロビンとは大学時代からの長い付き合いだけど、もしロビンに誰か恋人ができてもあの子は周りにそれを言ったりするタイプではないから
だから真偽は謎」

えーっ
今さらっと衝撃的なこと言わなかった!?

「ロビン先生と大学の頃からの友達なの??」

「そうよ
というかもしかしてフランキー先生じゃなくてロビンの方を好きなの?」

げっまずい!!

「いや、まずはライバルのことを知ることが大事かなーって」

「なるほどね」

ふぅ、やっぱり同性を好きになったことは隠しておくべきよね。
あー色々考えてたらさらに頭痛くなってきた。

「じゃあ先生、ちょっとベット借ります
次のチャイムが鳴ったら起こして」

「はいはい、どうぞごゆっくり」

あーなんかどっと疲れた。
ベットの周りのカーテンを閉めて遮断する。
ごそごそとベットにもぐりこんで、掛け布団を口許まで引っ張り上げると、うとうとと心地良い波が体を包みこんできた。

結局あの二人、つきあってるのか、な。
まあそのことは起きてから考えよう………






へんな違和感を感じて、ふと目をさました。
ん、なんだろ?
ぼんやりとあたりを見渡すと、窓から西日が差しこんでこの部屋を赤く染めていているのがわかって。
そこでもう放課後なんだって気がついた。
てことはずいぶん長く眠っていたのか。
寝過ぎて体の節々が痛い。
だるい体を起こしてベットからゆっくり降り、上履きをはく。
あー制服がしわくちゃになってる。
よれよれになったスカートを整えて周りのカーテンを開く。

「もうっ、次のチャイムで起こしてって言ったのに」

いい加減なんだから、と言いかけてものすごくびっくりした。
だってポーラ先生じゃなくて愛しのロビン先生がいるんだもん。
ってあれ? このパターン、前にもあったわよね…

「なんでロビン先生がここに?」

「ちょっとポーラ先生に用があって
それよりナミちゃん具合は大丈夫?
ずっと寝ていたのでしょう?」

いや、もうロビン先生に心配してもらったら元気になりました。

「そういえばポーラ先生は?」

「ああ、放送で呼ばれたから職員室に行ったわ」

「そうなんだ」

っていうかフランキーのこと聞くチャンスよね、これって!!
聞きたいけどこの前恋人いないって言ってたし。
また聞くと不審に思うよね。
あーもーどうしようっ
どうすればいいのか頭を抱えそうになったとき、ガチャリと扉が開いてポーラ先生が入ってきた。

「あらナミ、起きたの?」

「…おかげさまでぐっすり眠れました」

文句でも言ってやろうかと思ったけど、おかげでロビンに会えたからよしとしよう。
ていうかなんで残念そうなのよ。

「そういえばロビン
ある生徒の情報で、あなたがフランキー先生とお付き合いしてるって聞いたんだけど、それ本当?」

ナーイス!!!!!
ありがとうポーラ先生っ
今まではちょっとアレだったけど、これからは尊敬しますっ

「フランキー先生と?
それはないわ
彼、タイプじゃないもの」

きゃー!!!!
しっかり聞いたわよ。
やっぱり違ったのねっ
噂に振り回されてただけだったのかー
あーほんとによかった。
それよりロビン先生って意外と毒舌なのね。
でもそんな一面も素敵っ

「なんだつまらないわね」

「なんのこと?」

「こっちの話よ」

そう言ってポーラ先生がこっちをみてニヤニヤしてくる。
ぜったい楽しんでるわこの人。

「じゃあナミ、もう遅くなるから帰りなさい」

「はーい じゃあ部活に…」

「だめよナミちゃん、今日はもう帰ってゆっくり休んで?」

うぅ…もう元気になったのに。

「じゃあわたしも授業の準備があるからそろそろ戻るわ」

「あらそう?」

ロビン先生が座ってた椅子から立ち上がって、あたしに帰るように促した。
ロビン先生の後につづいて保健室を出ようとしたら後ろからポーラ先生に耳打ちされた。


「本当はロビンのことが好きなんでしょう」

一気に顔が真っ赤になってばっと勢いよく振り向いたら、

「相手が同性でもべつにいいじゃない」

あまりの衝撃にあたしがあんぐりと口をあけて何も言えないまま固まってたら、そう囁いてついでににやりと笑みを残して保健室に戻って行った。

ばれてたのー!!!!
もうほんとに穴があったら入りたい。

ロビン先生の顔もろくに見れずに、途中で分かれて教室まで荷物を取りに行った。





あーまだ顔が赤い。









<あとがき>
新しい登場人物を2人投入してみたけど、フランキーの扱いが酷すぎるよね。
不憫すぎる。ごめん(笑)
たぶんこれからもっと不憫なキャラが増えるんだろうな。
内容としては、やっぱりコメディ色がなかなか抜けなくて困ってます。もうほんとに。
ナミちゃんの思春期まっ盛り感が出てればいいなあ、と思う。
いつも思うけどロビン先生あんまり喋らないよね。
すいません。






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