ゆっくり時間をかけて手に入れるつもりだった。
どんなことがあってもそばにいて支えていればきっと大丈夫だと。
いつから歯車が狂ってしまったのか
きらきらと太陽みたいに笑うあの子は本当に眩しくて、私だけがそれを知っていればそれで良かったのに。
いつからかナミさんはいつも私ではないあの人を目で追うようになっていて。
私がいつも近くで大切に守ってきたのに。
いずれこの想いが叶うと信じて疑わなかったのに。
誰にも渡したくなんかない。
どんな手をつかっても。
親友、なんて便利な言葉なんだろう。
私はナミさんの親友で、ナミさんは私の好きな人。
私は親友の皮を被って無防備なナミさんに触れる。
ナミさんがロビン先生に恋愛感情を抱いていることは早い段階で気づいていた。
あの人の元へ行くとき、とてもうれしそうで幸せそうで、ナミさんを束縛して閉じ込めておきたい衝動を抑えるのに必死だった。
わざと生徒会の仕事をたくさんこなして忘れようと、諦めようとしたこともあった。
けれどぐつぐつと煮えたぎったこの想いを消し去ることはできなくて、罪悪感にさいなまれながら私は自分の手を汚し続けている。
最初はロビン先生とフランキー先生が付き合っている、なんてありもしない噂を流した。
ロビン先生のことで一喜一憂するナミさんを簡単に振り回すことが出来た。
ロビン先生とポーラ先生のやりとりを目撃したときだって、傷ついたナミさんを先生から引き離さずにそのままにしておいたのは、ナミさんの想いを暴走させて二人の関係をぎくしゃくさせるため。
"本当にナミさんのことを想うなら、曖昧なままにしておかないでください"
"先生はずるい
どっちつかずの立ち位置でナミさんを惑わせて気づかぬふりをしているだけ"
あの日、先生にぶつけたぎらぎらした刃のような言葉たち。
曖昧でずるくて卑怯なのは果たしてどっちだろう。
私が手にした刃はどうやら諸刃の剣だったみたい。
深く深く心をえぐられた。
廊下の柱に隠れて先生を待ち伏せていたとき、先生は泣いていた。
その涙は先生の覚悟を表しているようで、本当にナミさんを想っていたんだと痛感させられた。
「泣かないでください
先生は正しいことをしたんですから」
負けたくなくて、完全にナミさんのことをあきらめてほしくてはっきりと放った一言。
「……あなたが、羨ましい」
すれちがいざまに先生がかすかにそう呟いた気がして頭に血が上った。
ふざけないで。
先生はお互いのために正しい道を選んだんでしょう?
羨ましいのは私の方。
ずっと支えてきたのは私なのに、ナミさんの瞳にはあなたしか映っていない。
「ナミさんは私のものです」
自分に、先生に言いきかせるようにそう吐き捨てた。
ぼろぼろになって涙を流すナミさんを抱きしめていたら、罪の意識がじわりじわりと麻痺していくのがわかった。
<あとがき>
最初に謝っておきます
ビビファンの方々、本当にすいません
ビビ、嫌いなわけじゃないんです
むしろ好きです
想いの伝え方が歪んでしまうってとても悲しいことだけど惹かれます
なによりもビビはそれをちゃんと自覚した上でやっているので尚更
今回は独白なので会話はほとんど無いです
手抜きじゃないです(笑)
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