その顔、反則です





「ドクターストップだぜ、名前ちゃん。動いちゃ駄目。」

「やだ。」

「我儘言っちゃ駄目だろ?名前ちゃん、いい子なんだろ?」

「やだ、うるちゃい。子供扱いすんな」

「ハハ、そうでしたね。お嬢様。」

うー。
サンジはやっぱり一枚上手で、私より一歩上を常にキープ。
それが気にくわない私。

こうやって、熱を出した私に風邪薬を飲ませてくれたり、落ち着くまで隣に居て、子供をあやすようにポンポンって布団をたたいてくれる。

本当に落ち着くから困る。



「ちゅーして」

「…ん?ちゅーしたくなっちゃったの?」

そういって頭撫でながら爽やかに笑ってちゅーしやがった、こいつ。

本っ当何もかも完璧で逆に腹ただしい。

「そんな可愛い事ばっか言ってると襲っちゃうよ?」


「…襲ってみれば?」

一枚上手なサンジをからかってやろうと思って冗談で言ったつもりだった、のに

「ばっ…そういう事言ったら男は本気にするもんだぜ?名前ちゃん!俺だって名前とあんなことやそんなことしたいけどいつもどんだけ我慢してると思ってるんだよ!ましてやこの船の中なんてあいつらいるしでも理性が」

「ちょ、ちょっと落ち着いて?サンジ。

ねぇ、









顔、真っ赤だよ?」

「う、嘘だろ?俺が…」

「本当だってば。」



ああ、解ってしまった。
この人は大人の男ぶってるだけであって、本当はただ、私をエスコートしてくれていただけで、全部全部私の為に、自らが背伸びをして頑張ってくれてたんだってことを。

「かーわいい」

「か、からかうな」









その顔、反則です。

まあ、一枚上手でも良しとして

これからもからわせて戴きますか。

私だけに見せるその顔を見るために。




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