いちのいち。
時は巡る。風車のように、ぐるぐるぐるぐる…、
「おーい兵助、何してんだよ」
「…ハチ」
「行こうぜ、入学式はじまるし」
「…うん」
そうは言いつつ、久々知はうろうろと視線を巡らせた。桜の花びらがちらちらと視界に映るけれど、瞳に映したいのはそんな薄い色じゃない。もっと濃い、赤に近い色―――――…
―――――!!
「おい、兵助?」
「…見つけた」
「は?」
見つけた見つけた、ずっとずっと探して探して、あの当時の年齢も通り越して、やっと。
「…………勘ちゃん、」
―――――約束、守りにきたよ。
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