01.

―――――鳴上悠がテレビの中へ攫われた。それも彼自身ののシャドウによって。その話を花村から連絡を受け知ったメンバーは、真犯人が捕まった後初めて、テレビの中に足を踏み入れた。りせのナビによって辿り着いた場所は、巨大なガラス製の容器が沢山立ち並ぶ、不思議なダンジョンだった。




自称特別捜査隊のメンバーは、目の前の少年―――――鳴上悠のシャドウを見つめた。


「お前が、悠のシャドウか…?」

「うん」


素直にそれは頷いた。両手にはおおきな瓶を抱えている。後ろには本物の鳴上悠が人間が入るくらい大きな瓶に入れられている。意識は無いようで、瓶の側面に寄りかかるようにして、眠っているようだった。鳴上のシャドウは本体よりもだいぶ幼く、小学生くらいの姿を象っていて、小学校の制服であろう服を着ていた。


「あれ?あそこにある瓶…」


天城が彼から視線を外して声をあげた。彼女の視線の先には、七つの瓶があった。それらの瓶にはいろいろな色のアメがいっぱいに入ってきちんとコルクの蓋がされている。


「あれは、よーすけたちだよ」


ぽつりと鳴上のシャドウは言った。鳴上らしからぬ伝達力に、皆意味がわからず首を傾げた。するとシャドウは一つ一つ指を差しながら、あれは花村、あれは里中、あれは天城、というように教えてくれる。花村と差された瓶の中には橙、里中は緑、天城は赤、完二は黒、りせはピンク、直斗は青、クマは黄のアメ。どうやらイメージカラーのような分類の仕方であれは誰、というのを決めているようだが、これに彼がシャドウを産む原因との関係があるとは到底思えない。花村はしばらく考え込んでいたが、ある事に気づいてシャドウに問いかけた。


「なあ、悠。お前のはどこにあるんだ?」

「これ」


すると差しだされたのはシャドウがずっと抱えていた瓶だった。中身は空で、コルクの蓋はされていない。


「でも、アメが入ってないよ?全部食べちゃったの?」

「ううん」


シャドウは首を振って言った。元々空っぽなのだ、と。


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