月曜日、テニスコートにて。

月曜日。私は見てしまった。




私の通う立海大附属中学校の男子テニス部は有名だ。理由の一つは、「常勝」の名のもとに、厳しい練習をする部員たちの凄さ。そしてもう一つ。


レギュラーの美形度が半端じゃないのだ。いや、マジで。


中学生のくせに成長しすぎた容姿の彼らは、年ごろの女の子たちの注目の的だ。私は顔の美醜よりも人の"気"で人となりを判断するので、別に彼らに興味は無いしテニスコートに近づくこともなかった。



そう、見てしまうまでは。




職員室に用があった私は、ちょうど作業をしていた先生から、「会計の柳に渡してくれないか」、と生徒会の書類を渡された。私も下っ端の生徒会役員だが、彼とは仕事での事務的な会話でしか話したことはない。素直にそう言うと先生に笑って「テニス部と話せていいだろ」と何かどや顔で言われた。

別に彼らと話しても何にも得することなんて私にはないのだが。そんなことを思いながら柳を探す。
生徒会にはいなかったので、柳はおそらくテニスコート。ここで私の脳内に方程式が立つ。

テニスコートに行く→ギャラリーわんさか→柳を呼ぶ→女の子の殺気

こ わ す ぎ る。

しかし行かないと重要な書類だったら困る。仕方なく私はテニスコートへ向かうことにした。






「…なに、あれ」


私は愕然とした。現在地はテニスコート、青春をテニスに捧げた少年たちの元気な声が聴こえる。きっとあのフェンスの外で応援している女の子たちにはキラキラ輝く少年たちが見えていることだろう。

でも、私は違う。


(どうやったらあんな真っ黒になるんだっ…)


男子テニス部、特にレギュラー陣の周りには黒い煙のようなものが立ち込め、彼らを判別することが困難なまでに濃く、深く存在していた。

吐き気がする。思わずしゃがみこむ。あれはまずい。どうしよう、私近寄れない。

だってあんな―――――


01.自己嫌悪
(あんなに黒い"気"見たことない、)(来るんじゃなかった!)

お題配布元:「夢紡ぎ」様より選択お題49

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