「グララララ!こんなチビっ子が騒動の原因かァ?」
「やっぱ、親父の覇気には耐えれないのかい」
「こんなチビっ子がマルコの覇気に耐えてたのが逆にすげぇよ」


俺は腕の中で力なくしてサッチに頬を突かれているこいつ、ハルカに何者か尋ねたとき、一瞬ではあるが覇気を当てた。
だがこいつは今みたいに気絶するわけでもなく、困惑した瞳で俺を見上げた。
妙な身なりをしてるが大した奴だよい。


「親父、こいつどうするんだよい」
「そうだなァ、気が済むまで乗せてやれ」
「…了解だよい」


どうやら親父はこいつのことが少しだが気に入ったようだ。
頭に血が上ると良くないとサッチが言うものだから仕方なしにハルカを横抱きにする。


「グラララ!目が覚めたらまたここに連れてこい」
「じゃ、とりあえず医務室にでも運ぶか!」
「親父、また来るよい」
「これ、こいつの?」


サッチの手の中にある手の平サイズの物は、先ほどまでハルカが握りしめていたものではないか。
見たこともないその物をまじまじと見るサッチ。


「日本とかいう所の技術で作られたもんかね」
「マルコ、日本ってェのは何だァ?」
「こいつが言ったんだい。日本から来たって。白ひげのことも知らなかった」
「グラララ!そうか、大したチビだなァ!」
「まったくだよい」


医務室に連れて行けば船医が腰かけていた椅子から立ち上がり空いているベッドへ案内した。
ただ覇気に当てられただけだと思っていたらどうやら少し熱もあるようだった。


「かっわいいー顔してんなぁー」
「…襲うなよい」
「あ?サッチ様がそんなことするかよー」
「…お前ならやりかねないよい」
「なんだと?!…他の連中には気を付けねぇとな。飢えてっから!」


ゲラゲラ笑う煩いサッチを蹴り飛ばす。
確かにこいつの顔は整っていて美人な顔している。
そして団員は長い航海で女に飢えている。
島に着くのはまだ少し掛かるからこの容姿だと少なからず危険ではあるだろう。


「だが家族になるかもしれねェんだ。強姦は許されねェよい」
「可愛い可愛い妹だなぁー」
「…サッチ、そういえば今日までの書類がまだ届いてないようだが」
「!!こ、こいつの為に粥でも作らねェとなぁ!」
「……おい」
「す、すんませーん!今からやってきます!」


サッチは壊れるんじゃないかというくらいに扉を開け出て行った。
その音に身を捩じらせたハルカは薄らと目を開けた。


「起きたかよい」
「……あれ、…夢じゃ、ない」
「…熱があるんだ、薬飲めるかぃ?」
「……ん」


こくりと頷くハルカを起き上がらせて薬を渡す。
小さい子供のように両手でコップを持つ姿は少し弱く見えた。
船医にまだ寝かせとけと言われたものだからそれに従い、もう一度横にならせる。


「次目が覚めたらもう一度親父の所に連れて行くよい」
「…は、い。すみません」
「これ、お前のだろい?」
「!!ぼ、僕のです…っ」


小さな箱のようなものを見せれば目を見開いて飛び起き、手を伸ばした。
(大きな瞳だねぃ…というかこいつは僕っ子なのか?)


「ありがとうございます。えっと、」
「あぁ、俺はマルコだよい」
「マルコさん。ありがとうございます」


そういってハルカは微笑んだ。
まさかこんなことで感謝されるなど思ってもみなかったものだから不覚にも驚いた。
先ほどからこいつには振り回されている気がする。
突然やってきた見ず知らずの人間を、柄にもなく自ら世話焼いているのだ。
(全く、そろそろ年かねぃ)


「そういえばお前、年いくつだよい」
「え、18歳です」
「…もっとガキかと思ってたよい」
「あぁ、よく言われます。男の癖に女顔だから余計にって」




(…男の癖に…?お前、男なのか?)
(あ、はい。生物学上列記とした男です)
(…!!!)






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