■はじまり/ルーク×リッド(葉月なな様)


「あと一人か…」
長い髪を面倒くさそうに掻きながら呟いた。
この世界では、4人1組になりクエストに出るらしい。
一番最初に召喚されたルークは、突然召喚された事、見ず知らずの人間と冒険に行かなければならないことに、戸惑いと苛立ちを隠しきれなかった。
「最後はやっぱり女の子でしょ!」
祈るように手を組みながら叫んだ男…ゼロスを睨みつける。
冗談じゃない、ここは攻撃力重視で、一刻も早くクエストを終わらせて元の世界へ戻りたい。
「大切なのは性別じゃない。バランスを考えるなら弓使い等の遠距離攻撃を得意とする人物じゃないか?」
冷静な声の主を振り返る。
確かキール…と言ったか、発言した割には、分厚い本に目を落としたままだ。
…こいつ嫌いだな。
まだ会って間もないにも関わらず、本能からかそう思った。

その時だった。
少しだけ高いところに、小さな光が…だが、徐々に大きく広がっていく。
「きたか…」
パタンと本を閉じながら、キールはじっと光の方を見つめる。
「こい!かわいこちゃん!!」
ゼロスの叫び声を後ろに聞きながら、ルークは自分のすぐ上にある光を見つめる。
最初に見えたのは、赤。
アッシュかとも思ったが、ずっと短い髪だった。
すぐに全体が見える…随分と露出の高い服を着た奴だ。
「きた!かわいこちゃん!!!!」
ゼロスの絶叫とほぼ同時に、キールが何か呟いた。
ルークは、何故か光の方に向かって腕を出していた。
ふわりと降りてくる人物を抱きとめるかのように腕を広げ、待った。
最初は、羽を抱きとめたような感じだった。
それも一瞬で、すぐに腕には重さを感じた。
それでもこの軽さは…女か?
顔を覗き込むと、長い睫毛が細かく動き、青く大きな瞳と目があった。
空のようだと思ったが、見つめているうちに、深い海のようにも見えた。
「…誰?」
声にはっとし、ルークは声の主を静かに地面に立たせた。
「リッド!」
予想外の声に、ルークと、リッドと呼ばれた人物は振り返る。
「キール!」
嬉しそうな顔をしながら、リッドはキールのもとへ駆け寄った。
「何々?!キール君の恋人?!?!」
興味津々にリッドを覗き込むゼロスに、キールはため息をつきながら答える。
「彼は…僕の幼馴染でリッドと言うんだ。ちなみに、ゼロスの求めている性別ではない」
男なんだ…腕に抱いただけではわからないくらい、可愛らしい容姿にルークは目を奪われたままだった。
「あんたたちは?」
その可愛らしい外見とは裏腹に、ぶっきらぼうなもの言い…しかし気にもとめていない様子で「俺様ゼロス!!よろしくリッドちゃん☆」と抱きつく。
そんなゼロスをひきはがしながら視線をルークへ向ける。
「…ルークだ」
もっと気のきいた自己紹介はできないものかと自分でも思うが、そう答えるだけで精いっぱいだった。
「ルークか、俺リッド。よろしくな」
ふわりと優しい微笑みに、ルークは確信した。

一目ぼれなんて、馬鹿のすることだと思ってた。

惚れる方が負けだとも知っている。

それでも…こいつを自分のものにしたい。


END
>あとがき
キズナプレイ始めてから、本気でしばらくこのパーティーでした。物語そっちのけで妄想して楽しんでます(現在進行形)。ちなみにこれからメンバー全員でリッドを取り合います…

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