■■ ■貴方の愛は温い(ユリリド)
んー、と何かを考えこむような、軽い唸り声が上がる。
「ユーリの愛って、なんか温いよな」
「は?」
思わず素っ頓狂な声が出た。突然何を言い出すのか
「いやだって、なんかすげーオレに優しくしてくれるし、大事にしてくれるし、ぬるま湯に浸からせてくれるみたいな?」
真綿で首を絞めるような・・・いやそれは使い方が違うか。オレ、難しい言葉はわかんねぇからなぁと一人勝手に思考を巡らせるリッドに、ユーリは深く溜息を吐いた。
果たしてそれらの発言が俺を褒めているのか貶しているのか、微妙に判断に迷うところであるがそれよりも
「それは今この状況で言わなきゃなんねぇことなのか?」
そう、この状況でである。軽く照明を落とした自室のベッドにリッドを押し倒して、さて今からお楽しみといったこの状況でである。
「いや、だからさ」
もっと熱くてもオレはいいのになぁって
自分の眼がとんでもなく見開かれているのがわかる。さっきとは全く違う意味で、突然何を言い出すのかと問いたい。
お前、そんな妖艶に笑うキャラだったか?
「お前・・・そんなこと言って、明日ベッドから立てねぇようにしてやるぞ」
ハハなんて軽く笑いやがる。そっちがその気なら、年上をからかいすぎるとどうなるか教えてやる。
もっと熱くていいと言った言葉、今更取り消したってもう遅いからなとユーリは不敵な笑みを浮かべて、リッドの上半身を覆う薄い布を捲り上げた。
貴方の愛は温い。それが優しさだとは知っている。
(・・・だから、優しいんだって)
覚悟しろよだとかなんとか言いながら、それでもオレに触れてくるユーリの手は至極優しくて、どんなに理性が限界でも乱暴なことは絶対にしてこない。
その優しさはくすぐったくて、どうしようもなく温かくて、とても大事にされていると解かるのに、それはきっと泪が出るくらい幸せなことなのに
もっと壊れてしまうほどの激しい愛が欲しいと思ってしまうのは何故だろうか。過ぎた我侭だと自覚はしている。
(・・・ああ、そうか)
壊れるくらい愛してほしいんじゃない
(壊して、ほしいんだ)
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