■秘密(クレリド)

オレンジやピンクの絵の具を流し込んで、雲を溶かしたかのような夕暮れの空
燃え尽きるように沈んでいく太陽は黒々とした影を世界に残して、街に夜の帳が下りる。
昼間の暖かさとはうってかわって少々の肌寒さすら感じさせる秋風が吹き、暗くなりつつある森の木々をざわめかせる。
「へっくしゅんっ」
思わずくしゃみを一つして、流石に半袖カッターにサマーセーターだけじゃマズかったかと剥き出しの腕を擦っていると、ふわりと肩にブレザーが掛けられる。
「季節の変わり目だから、昼間暖かくても油断しないようにね」
年下だがその辺は何倍もしっかりしているクレスに釘を刺され、リッドは悪戯が見つかった子供のような笑顔で「サンキュ」と肩をすくめた。
そんなリッドにクレスもやれやれといった風に苦笑すると、用意してきた温かい飲み物をカップに注ぎ、リッドに手渡す。
「楽しみだね、天体観測」
流星群だっけ、とクレスは闇に色彩を奪われていく空を見上げ、ああと頷くリッドの隣に腰を下ろす。
「でも知らなかったな、こんなところがあったなんて」
「穴場なんだ」
オレの、秘密の場所
来るのには些か面倒を伴うが、人も然程訪れないため静かに空を眺められると、ずずっと音を立ててカップの中身を飲みながらリッドは話す。
「そっか、ならありがとう」
リッドは首を傾げた。お礼を言われた理由がよくわからなかったからだ。
「だって、リッドの秘密を僕に教えてくれたから」
それが嬉しかったから、だからありがとうと
そう言われてリッドも、そういやそうだなと少し考える仕草を見せる。
「んー・・・、クレスだからいいかなって」
深くは考えていなかったらしいが、その熱を指先に移すようにカップを手の中で転がして、へへっと笑うリッドの笑顔に、クレスもまたにっこりと笑みを浮かべた。



@特に山も意味もオチもない(これぞ正しいry)ただリッドの秘密のひとつを教えてもらえて嬉しいクレスとクレスだからまいっかって感じのリッドが二人でえへへってしてるだけの話(なんだよそれw)

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