■洞窟の夜(レイリ)

たき火にくべられた枯れ木が爆ぜる音でフッと目を開いた。どうやらいつの間にか、眠ってしまっていたらしい。
「おや、起こしてしまったかな」
頭のすぐ上から少し低めの、耳に心地よい声が聞こえてきて、ぼんやりとしたままそちらを向くと、金髪の男の整った顔立ちが目に入ってきた。
「・・っ!!」
ぼやけた視界がクリアになった瞬間、リッドは目の前の男がどういった経緯でここに、自分たちと共に居るのかを思い出し、反射的に男の傍から飛び退いた。
「その態度は、流石の私も傷付く」
男はフッと苦笑するが、しかし言葉とは裏腹に特に気にした様子もなく、拾い集めた枯れ木の残りをたき火に放り込んでいく。
飛び退いた拍子に、リッドの身体からはらりと毛布が落ちかけた。
それを掴み、リッドは自分がこの男の肩を借りて気持ちよく眠りこけていた、という事実を確信した。
しかも洞窟の吹きすさぶ風にこごえないようにとご丁寧に毛布まで掛けてもらって・・・この男のこんなにも至近距離への接近に気付くことも拒むこともなく、おまけに夢の中では懐かしい安らぎと安堵感に包まれていた。
なんてことだ、なんてことだ!

(まだコイツに、心を許したつもりなんてないのに!)

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