感情論 | ナノ



06.現時刻、午後4時47分



あれから2週間。


なにもなく過ぎた。


いや、過ぎたというよりは

なにもなく過ごせた。





あの日以来、神田と話していない。


お互い、相変わらずの学校生活を送っている。



2年神話科の授業はやるし、

神田も何を言わず受けている。



時々、あの日の朝のことは

自分が見た夢なんじゃないかって思う。


それを完全に肯定させないのは、


脳裏にやきついて離れない

鋭く澄んだ朝の空気と

彼女の眸。




考えると余計に混乱するので

今日の最後にやった小テストのまる付けをすすめる。



ひとつひとつ、苦手な部分をさがしながらみていく。


計算が苦手な奴、

暗記系がさっぱりな奴…


この学園唯一の文系クラス、神話科には

とくに計算に弱いやつが多い傾向が色濃く表れてる。




最後から5枚目。


男子たちに交じって、細くしなやかな字の紙があった。

神田のだ。

問題は危うげなく満点。



毎回、最後に設けている自由記述の欄に

めずらしく、コメントが書いてある。


「…っ………」



上の解答欄と同じ字でしっかりと。




『今日の5時、西校舎の屋上で待ってます』






こんなの、誰かに見られたらどうする気だ…。


確かにこの屋上はあまり知られていない。

逢瀬には相応しい……と。










06.現時刻、午後4時47分
(ペンを机に置いて。)








西日がてらす



その字を、その言葉を見て、




否定以外の感情をもっている自分に戸惑う。








120211
放置してスミマセン。
わけわかんなくなってる
直獅です。
わけわかんなくなってる
あたしでもあります。