「ありがとう。でもあのゲームは先輩達が凄かったんだよ」
「でっでも!俺、先輩があの時1年だって聞いたとき本当にびっくりして!年齢1つしか違わないのに体も大きいしスタミナもあるし何より綺麗で…」
「俺なんかまだまだだよ」
「あー、こいつ褒めても謙遜するばっかだからおもしろくないよ」
「そういうこと言うなよ。ちょっと褒められるのが苦手なだけだ」
「でも先輩は凄いです!」
「………」
「………」
上級生二人を黙らせる、ある意味大物の1年生だ。
「あ、ありがとう。姫川もバスケするの?」
「はっはい……中学はずっと補欠だったし、背も小さいしで全然うまくないですが…」
「じゃあ、高校で頑張ってうまくなろうな」
自分より20センチ以上小さい姫川の頭を撫でると、撫でられた姫川は目を見開き優しく微笑む智希に釘付けになった。
綺麗、それはプレイだけでなく存在自体が綺麗なんだと頭の奥で何かが響いている。
「ああありがとうございます!」
「………ん、でもここ人多いしもうちょっと声小さくしような」
「はいっ!!」
真藤は笑いを堪えるのに必死だ。
「あ、あの部活明日からですよね……」
「あーそうそう今日はゆっくりして、明日からちゃんと練習再開」
「そうですか…今日からだと思ってはりきってジャージ持ってきたのに……」
「あはは。お前みたいな熱心な新入生が入ってくれて嬉しいよ」
「…………」
また顔が赤くなる姫川。
笑いそうになって堪える真藤。
天然の智希。
ガヤガヤと下校するもの、部活があるもので賑わう下足室は賑わっていた。