朝になったらの夢主視点

覚醒していく頭の中で、隣の体温が起き上がったのがわかった。寝起きの悪い私は、引き留めようと腕を伸ばすのもだるくて、ぼやけてる視界で彼を目で追うのが精一杯だった。

「……起きてるのか?」
「うん」

珍しく自分が帰る前に起きたのに気付いた四木さんがベッドから去り、泊まり用でおいてある服をクローゼットから出し帰り支度を始めた。あぁ、起きても帰っちゃうんだ。帰ってほしくないって言ったら四木さんは一体どんな反応をするのだろう。でも、臆病な私は聞けずにもいて、帰ってく姿も音も聞きたくなくて耳を塞ぐように布団に潜り込んだ。きっとこんな行動しても四木さんから見ればまだまだ子どもだなと思われてしまうのかもしれない。何となく、しているかしていないかわからない私の迷妄なため息が耳元でする。

「また夜に来る」

はっきりと聞こえた四木さんの声。嫌だ、もっと一緒にいたい。そんな言葉を必死で飲み込んでうん、待ってると答えた私は彼とつり合いのとれる女になっているのだろうか。そんな答えもわからない疑問が浮かんだけれど、鍵のかかる音と共にその考えにも鍵をかけることにするのだ。

title:サディスティックアップル



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