*いつでもいっしょの偶然なのか必然なのかとリンクしてます
*土方の彼女はデフォルト名

「おい、勝手にベッド使ってんじゃねぇぞ。襲われたいのか?」
「そんな事こんなとこで言わないでよ。このタイミングで誰かが入ってきたらどうするの?」

職員室での用事を済ませて、保健室に戻ると出る前には閉まっていなかったベッド周りのカーテン。ういだろうとは思いつつも本当に体調の悪い生徒が寝ていたら申し訳ないので、心配気味にカーテンを開くとやっぱり寝ていたのはういだった。

「今朝ピンピンしてただろうが! 早く教室行け」
「え、嫌……。6限目は出るから頼むよ。先生」

わざとらしいくらいの猫なで声で、上目遣い。どうせ誰も来ないだろうとたかを括って、その見上げてくる顔の顎を掴んでもう少しで唇に届きそうな時だった。

「高杉、生徒に何してんだ」

その声に瞬時に離れたのはういで布団に潜り込んでいった。その様子に心の中で舌打ちをしながら平静を装い土方が連れてきた女子生徒を見る。お腹を抱え込んでるから、腹痛か生理痛か。

「別に体調見てただけだ。で、その生徒は」
「だって今、キスしようと。愛もそう見えたよな?」
「バカ、名前!」

お腹は痛いながらも別の意味で頭を抱え込んだ生徒。何だこいつらもかよ。俺が相手で油断して名前を呼んでしまったようだ。土方の顔は涼しげにしているが、かなり焦っていることだろう。

「とりあえず、この話をここでするのは止めようぜ。体調悪いんだろ。とりあえず座れ」

じゃあ、後は頼むなと土方は保健室を出て行った。連れてこられた生徒に何年何組と名前を聞くと、3年D組だと言う。

「担任と付き合ってんのか?」
「その話はここでしないんじゃなかったんですか」
「いや、思わずな。悪い。で、腹痛か? 生理痛か?」
「生理痛です。思ってたより酷くなっちゃって」

大抵、養護教諭と言うと女が多いが珍しくも男でこの職に就いているから生理となると話しずらくなる女子生徒が多いので俺から聞くようにしている。そうすると少しは喋りやすくなるのかきちんと症状を話してくれる生徒が多い気がするので、そう言った手法をとっているのだ。

「薬は持ってきてないのか?」
「さっき確認したら切らしてしまっていて」

ういとは違い顔が真っ青な西島にベットへ横になるよう言うとゆっくりと立ち上がり倒れ込むように横になった。隣のカーテンからういが心配そうに覗き込んできた。

「大丈夫ですか? 良かったら私、薬持ってますよ」
「いや、大丈夫だよ。あなたも体調悪いだろうし、申し訳ない……」
「タダのサボりで体調悪いわけじゃないから、次の放課で取りに行かせるわ。その状態じゃ帰れないだろ」

じゃあ、お言葉に甘えようかなと楽な体勢になって少し落ち着いた様子になったので、そのまま寝かせる事にした。2人分のカーテンを閉め、事務仕事に集中していたら、あっという間に5限目が終わるチャイムが鳴った。ういが寝ている方のベッドから起きた音が聞こえて、カーテンが開く。薬取ってくると教室に戻って行った。

暫くしてういが戻って来て、ピンク色の薬を2錠渡された。西島は起きてくる様子がない。すんなりと教室に戻ろうとするういを呼び止めて西島を起こしてやってくれと頼むとイタズラ気に微笑んだ。

「友達の彼女ってわかったから遠慮してる? それとも私に? だってさ、保健室の先生だからお仕事のひとつじゃん」

図星を突かれてしまった。ういの言う通り仕事だから問題はないのだが。協力してくれる人がいるなら頼みたいところだ。生理痛なら尚更女の方がわかってるし。俺の返事を待たずにごめん、ごめんと謝ってういは俺の手から薬をとり、カーテンの向こうへと消えていった。

少しするとカーテンが開き顔色の良くなった西島が顔を出した。教室に戻れそうかと聞くとだいぶ良くなって薬も飲んだから大丈夫との事なので、そのまま教室に戻って行った。残ったういが俺と顔を見合わせる。

「しかし、土方の彼女とはねぇ」
「まさか同じ感じの人達がいたとは。しかも晋助の友達。西島先輩とお友達になりたいなぁ」

ふと時計を見たういが授業そろそろ始まるから行くねと足早に保健室を出て行った。今度、土方と西島とご飯でも行くかと考えながら業務に戻った。



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