異能学園デゼスポワール


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『開脚からのお電話』



 夜。あれやこれやと買いに行ってからかなり時間が経ったようで、ヒロや他に来ていた人達は、帰りの道が違う事で別れようとしていた。

「明日の研修楽しみだね! 皆、頑張ろう!」
「じゃあ、俺達は帰るから、明日、遅刻すんなよ!」

 こうして春樹と翼は帰って行った。仮令と2人きりになって帰ってる内に、もう寮に着いた。

「じゃー、また明日! 頑張るばい!」
「おう」

 自室へと帰って行く仮令を見送った後、寮へと帰る。カバンや買ってきた物を降ろし、中から取り出す。

「えーと、明日は…」

 ピルルルルルルル

 明日の準備をしようとしていたヒロの携帯が鳴る。何かと思って携帯を見たら、見たことのない番号であった。だがヒロは間違って電話に出てしまった。切るのも失礼だと思い、間違い電話と思わしき電話に携帯を耳にやり、もしもしと答える。すると……

「やっほ〜結城! 俺だよ俺! 開脚名人の綾……」

プツンッ

 聞き覚えのある声に聞き覚えのある用語の開脚。そして最後に言った綾、といった一言。
ヤツだ。綾部だ。どうして自分の電話番号を、とヒロは頭を抱えた。もしかしてこれイタズラ電話じゃないのか? 自分と綾部の事を知っている部外者からのイタズラではないのか? とヒロは信じたかった。

 ピルルルルルルル

 再び電話が鳴る。先ほどのヤツの番号だった。正直出たくはなかったが、イタズラ電話だと思いつつ、電話に出る。

「おいおい、切るなんてヒドイじゃねーか! せっかく電話越しでも開脚してやろうと思ったのにさ!」
「……どちら様でしょう?」
「切られたから言い直すぜ! 俺は開脚名人の綾部助平! お前の友達、第1号だ!」
「さようなら」
「ちょ、まてまてまてまて!」

 いつから綾部の友達になったんだろうか。あんな開脚するやつ、友達ではなく、ただの変質者だ、とヒロは思う。

「電話したのにはちゃんと要件があるんだよ! 明日の事!」
「明日……研修の事か?」
「そう!お前初めてだろ?だから俺が……」

 嫌な予感がした。何だかゾッ、とするような嫌な予感。転校初日に綾部とぶつかった時と同じような感じであった。

「俺が勇気の出る電話越しの開脚してやるぜ!」

プツンッ

その後、電話が来ても出ないことにした。


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