01
「だぁーーーっ!!くっそぉ!」
ガシガシと頭をかきむしって俺は悔しさを思い切り声に出した。
炎を操る特訓をしているのだがまったくといっていいほどうまくいかない。
この間蝋燭にちゃんと炎をともすことができて自信が少しついたのに、今にも自信をなくしそうだった。
「・・・・・・・・」
俺の後ろには名前も顔も知らない変な女がいる。
無言でただ俺をじっと観察するように見ているからすごく居心地が悪い。
なんだってんだあの女、じっと無言でこっち見てなにがおもしれーんだよ。
心の中で舌打ちしながら横目でちらりと盗み見ようとしたら視線がかちあったのであわててそらした。
あの女はシュラが連れてきた奴だった。
『ちょっと用があるから、その間こいつがお前の面倒みるからな。
しつれーのないよーに!!』
俺の意見の声も聞かずシュラは「ほんじゃ、よろしくにゃ〜」なんていってさっさとその"用"とやらに行きやがった。
てきとーにいって丸投げしやがって。
面倒みるってつれてきた女は無愛想でしかも離しかけても無視するし。・・・のわりにはじっと、早く特訓やれと急かすみたいにこっち見てくるし。
今俺の後ろにいる女がきてからずっと俺はストレスがたまりっぱなしでどーも集中できねぇ。
ふぅ、とため息をついて水を飲みに行こうと立ち上がれば。
「・・・・なんだ、もうおしまいなの?」
やっとしゃべった。
「・・・ちょっと水のみにいくだけだ。」
ムカついて反抗してみたら女は俺に微笑を向けた。
「なら水を飲んだあと私の前に来て。」
「・・・あぁ。」
俺は水を飲むため部屋の外へと出た。
近くの自販機がある場所へ向かいながらふと気づく。
さっきまで興奮していたのにいつの間にか体は芯から落ち着いていた。
あの女としゃべって妙に心が沈んだ。落ちついたというか、なんというか冷静になるというか。
水を飲みながら、いつの間にか悔しさは無くなって冷静さが俺の中にあった。
「もう休憩は終了?」
余裕そうな女のいるところへ戻れば、また柔らかい笑みで迎えられた。
あぁ、と俺はまた静かに返事した。
女はそう、とだけ返し「はじめましょうか」とか意味の分からないことをつぶやき地べたを指す。
「じゃあそこに座って。」
女がそういって、俺は地べたに胡坐を掻いて座った。
女も地べたに、座った。
「はなしを始める前に。」
真剣そうな顔をしたと思ったから思わず身構えたが。
すっ、と手を出される。
「私はナマエよ。」
「・・・・は?」
拍子抜けした。女は自己紹介をいきなり始めたのだ。
いや、まだ自己紹介はまだだったけどさ・・・・って突っ込むとこそこか!?
心の中でのり突っ込みを繰り広げ俺は女に向き直った。
口を開くまで無表情だったのに次の瞬間ふわって柔らかい笑みを浮かべて、女は言った。
「ナマエ、なまえ。よろしく、奥村燐君。」
俺は拍子抜けしながら握手した。
よくわからない女とであった
(ずっと君の特訓を見てきたけど、少し指摘させてもらっていいかな10個ほど。)
(10個もあるのかよ!?)