11
「一週間前からこちらにきました、下一級祓魔師、ナマエ なまえです。
一ヶ月間お世話になります。」
ナマエと名乗った女の丁寧な挨拶に俺は拙い会釈を返した。
ふわりと何かを包み込むような笑顔に心が癒される。
ナマエとのことは柔兄から聞いていた。柔兄が正十字学園に通っとったときの同級生やと。
あとあの蝮もナマエと知り合いだとか。
だからこいつも上二級か一級かくらいの階級を持っているのではと思っていたが、なぜか下一級祓魔師と俺よりも低い階級で驚いた。
「今回はどんな任務の内容で?」
癒されるような笑顔のまま、今回の任務について質問してきたナマエ。
そう、今日ナマエが挨拶に来たのはナマエがここでやるはじめての任務だからだ。
情報管理部所属の祓魔師が今回の祓魔対象の情報を説明する。
京都の路地に鬼(ゴブリン)が巣を作ったという報告が京都出張所に寄せられた。
それまではおとなしかったそうだが、最近、小鬼の被害にあっている一般市民が後を絶たず祓魔対象となったとのことだった。
今回の作戦は鬼の動きを待ち、なるべくまわりに被害を出さないように掃討するという方針となっていた。
―――しかしその作戦はまったくの無意味であった。
まだ祓魔対象にもなんの動きもないうちから、何者かが祓魔対象に刺激を与え鬼が暴れだしたという報告が全員に回った。
急いで路地へと向かうとそこにはたった一人で鬼と対峙しているナマエの姿があった。
そして鬼の数は、報告された数から大幅に減少しており俺らが呆然としている間にナマエはたった一人ですべての鬼を掃討してしまっていたのだ。
ここにいた全員がこう思ったことだろう。
ナマエは・・・いったい何者なのかと。
最強祓魔師(ごらぁ!!なに勝手に動いてるんやなまえ!)
(・・・・ごめんなさい柔造君。)
最強なのは祓魔だけなのかもしれない。