授業中に屋上で 01
「・・・・Zzzz」
「鼻つついてもおきない。」
つんつん、って鼻をつついてみたけど反応はなし。
こんどはどうしよう。
ぷにぷにとほっぺをつつく。
「なんだか、ちっちゃい子供みたい。」
前にお母さんに聞いたことある。
ちっちゃい子供はちょっとくらいゆすっても持ち上げたりしても起きないって。
それにちっちゃ子って体温高い。
燐君もほっぺたを触るとぽっかぽかの温かい体温だった。
「燐くーん、りーんくん、」
ふふ、かわいいなぁなんて微笑む。
私がなぜここにいるのかというと。
ずっと彼を見てきたから、としかいいようがない気がする。
彼は暴力事件を起こしたりして先生たちからは問題児扱いされて恐れられてる。
けど、私はいつも知っていた。
彼が怒って、暴力を振るのは彼の憂さ晴らしでも彼が荒っぽい不良みたいな正確だからでもない。
彼は優しさをどう表現していいかわからない不器用な子なのだ。
優しくなろう、優しくなろうって彼なりに努力してるけど。
それが暴力となって出てしまうときがあるんだ。
だって、私は彼に何度優しくしてもらったことか。
そんな理由もあるけど本当は先生に頼まれたからでもある。
先生は一応私たちをよく観察していた。
私が燐君とよく話してるところを何度か目撃したことがあったらしい。
いくら義務教育で授業を放棄していても留年にはならないからといって(こんなんじゃ高校受験危ういよ燐君)、
授業を受けさせないわけにも行かない。
けれど先生たちは燐君が怖いし、燐君は先生来ると警戒しちゃうしで授業は結局でなさそうだからと燐を授業に出させるべく私に白羽の矢が当たった。
やってみます。と先生には言っておいた。
ただ燐君に授業でてと言っても先生の回しモノかと疑われてせっかく今まで仲良かった関係が崩れないか心配だ。
けれど頼まれたからにはやってのけなければならないという気持ちが私の中にはあった。
なのでまずは、燐君を起こすことからはじめなければ。
私は燐君を起こすために行動を再開させた。