02
志摩や坊、子猫さんとは昔ながらの付き合いだった。
幼いころ。
京都の出張所に異動となった両親。
両親はもともと京都の人間だったそうで戻ってきたと言うのが正しかった。
両親は明陀宗の人間で、"戻ってきた"ときいろいろな人に温かい目で見つめられたのを覚えている。
ただ周りが大人ばっかりで少しおびえていた。
そんなときに引き合わされたのは同い年の坊や志摩、そして子猫さんだった。
『・・・よろ、し、く』
来たばっかりで標準語なうちに最初ふて腐れたように照れた坊が、
『お、おう・・・』
といって握手をしてくれた手の感触は感激過ぎて今でも忘れられない。
今では坊も、男らしいごつごつした手になってしもうたけど。
それから、ずっと腐れ縁のように一緒やった。
友達やけど家族のようにみんな大切やった。
だからずっとこうしておれればいいと思うとった。
そう。うちの世界には恋だの愛だのは存在せぇへんかった。
ただあったんは家族愛にも似た、友情。
せやからうちが三人の中の誰かと付き合うことになるやなんて・・・特別に好意を抱きあうなんて、ありえへん。そうおもっとった。
けれどそんなある日。
それは間違うとったとうちは気づく。