01
ラ「・・・・・これなに?」
どさり、と目の前におかれたリュックにラビは驚いた。
それをおいたのは彼の父である町長だ。
町「旅のリュックだ。」
ラ「いやそれはわかるけど、なんで俺に?」
町「先ほどわしが勇者様に頼んでおいた。お前も旅にでろ。」
ラ「えぇぇぇ!?」
「よろしくね、ラビ。」
ラビに向かい微笑みかけるレイラ。
・・・どこか芝居がかっていたのは気のせいだろうか。
そんな、笑みだった。
神「・・・・よろしくな。」
神田は棒読みで何の感情もこもっていないようにラビに言う。
ラ「(なんだこの展開、なんなんさ!?)」
ラビは心の中ではパニック状態だった。
町「なんだ、不満か?」
町長がラビに聞く。
彼は父に向かって怒るように言った。
ラ「不満とか、そんなんじゃないさ!旅にでろとかいきなりすぎてわけわかんねぇよ!」
「大丈夫だよラビ。私もおじいちゃんに追い出されるようにして旅をしはじめたし。」
レイラはラビをなだめるように自分もだと伝えたが。
ラ「勇者と俺は違うんさ!」
「っ。」
ラビはパニックで興奮した状態のまま、レイラに怒った。
神「おい、兎。」
神田がラビを咎めるように呼んだ。
ラビが、ばっとまだ興奮が冷め切っていない状態で振り返る。
神「・・・・言いすぎだ。」
彼はじっとラビを睨むように見つめて言う。
ラビはそれではっとしたのかレイラを振り返る。
ラ「あ・・・」
レイラは、傷ついた顔をしていた。
彼女は、好きで勇者となったわけじゃないしそれこそ追い出されるようにして旅に出されたのだから今ラビのようにこうして意見をいうことすらできなかったのだ。
それでも、文句を言いながらも自分が勇者であり魔王を倒さなければならない運命にあると受け入れた。
勇者じゃなければ魔王を倒せない。自分は普通じゃないんだということは少なからず彼女を傷つけていた。
ほかの人間よりも特化した戦闘力。
勇者だからと特別な扱いを受け(悪い気もしないが)。
そしてラビの言葉がとどめとなった。
彼女にとってラビの言葉は
「お前は普通な自分とは違うんだ」といわれていると同然だったのだ。
ラ「わ、悪い・・・・」
謝るラビにレイラは切なそうに笑ってふるふると首を振った。
それでもなおしゅんとするラビにレイラはにっこりと笑って。
「申し訳ないと思うんなら、一緒に旅するべきじゃない?」
そう、言った。
ラビは、信じられないというような顔をした。
【ラビが仲間になった!】
そうして、ラビはレイラたちの仲間となった。