03
兎人たちは勇者であるレイラと神田を手厚く歓迎した。
兎人たちに笑顔を向けられレイラはご機嫌だ。
ラ「ただいま〜っと。」
ドアを開け中へ入るラビに続き二人も入る。
町長が杖を突きながらこちらへ出てきた。
町「ずいぶんと帰りが早かったな。
・・・・して、こちらは?」
ラ「勇者とそのお供さ。」
神「・・・・・」
神田はラビに"お供"といわれたことに眉間にしわを寄せた。
町「なんと・・・!!あの電話はまことだったのか!
ささ、お座りください勇者様たち。」
「ありがとうございます。」
神「・・・・・・」
町長は目を見開いて驚いたあとすぐにレイラたちを手厚くもてなした。
「あ、これフォードヘルの町長さんからもらってきました。」
紹介状を渡すと町長は「話は聞いています。」とにこやかに言った。
町「勇者様方が来る前に一本の電話がありました。
勇者が近々こちらへくるだろうと。
紹介状を渡したのでそれを証明にしてほしい、とね。」
「え、それって・・・」
町「フォードヘルの町長、アレイスターです。」
「やっぱり!でも私自分の正体いったっけ?」
町「何を言ってるんです、彼は吸血鬼ですよ。それくらいお見通しです。」
「きゅ、吸血鬼ー!?」
あわあわと慌てたのはレイラだけだった。
神田や、ラビは驚いた様子を見せずただ平然と座っていた。
「え、なんで驚かないの二人は。」
ラ「だって、なぁ?」
神「・・・・あの町長が代々吸血鬼の血筋だというのは有名だ。
・・・・これだから箱入り娘は。」
「箱入り娘言うな!」
怒鳴った相手はやれやれとため息をついていた。
かちん、とくるレイラはこっそりべーっと舌を出した。
と。ごほん、と町長が咳払いをする。
町「・・・とにかく、本題に入りましょうか。」
本題に入る、ということで先ほどまでのにこやかさを捨て真剣な表情になった町長に皆静まった。
町「勇者様がたがここへおいでになったのは魔界への行く道を通すためでしょう?」
「・・・・・」神「・・・・・」
無言で同時にうなずく二人。
町長は手を組んで机の上においた。
町「方法は、二つあります。」
「一つ目は?」
町「この世界に散らばらせたフルートのパーツを探してくることです。
この村に昔からあり祭られていたフルートですが魔界への道を封印するために使われた楽器です。
封印を簡単に解かれぬよう、各地にばらばらにしたのです。
この世界にある3つの大陸にそれぞれ隠されているはずです。」
神「・・・もうひとつは何だ。」
町「勇者が伝説の武器・防具をすべて集め硬い封印を打ち破ることです。
まず伝説の武器がそろわないと魔王は倒せないと聞いたことがありますが。」
「結局は、どちらも集めておいたほうがいい、と。」
町「よくわかりましたね。そのとおりです。」
「・・・・長旅になるなぁ・・・」
レイラは、がっくりうなだれた。