01
「ルンルンルーン♪」
スキップをしご機嫌に歌いながら前を進むレイラ。
神「しっかり歩け。落ちるぞ、谷に。」
そんな彼女の肩をがしりとつかんで押さえ込んだのは神田だった。
今彼女たちが歩いているのは兎人のいる山奥の村へ続く道。
「そんなこといっときながら神田はつり橋が怖いんだーー!!」
からかったレイラに神田は舌打ちした。
神「そういう問題じゃねぇだろ!」
レイラと神田が歩いているのはつり橋の上だ。
なのにレイラはというと縄の手すりにつかまることもせずスキップをして逆にこの状況を楽しんでいるのである。
神田はゆれるつり橋に大苦戦を強いられていた。
もっとも、レイラがスキップをしなければいい話だが。
「ほらほら、もっと揺らすよーー?」
緊張感のかけらも無い。
またもや横に揺れだしたつり橋に神田がキレた。
神「いい加減にしろっ!!」
怒鳴る神田にレイラはまったく動じなかった。
何度か怒鳴られ耐性がついてしまったようだ。
びくりと体を震わせる代わりに、レイラは適当に「あー、はいはい。」と返事をした。
神「チッ・・・早く進むぞ。」
「はーい。」
レイラがふざけるのをとがめながら進んだせいか神田は兎人の村へつくころにはすっかり疲れ果てていた。