02
「なかなか強いね神田。」
神「・・・・・」
「まだ私一人で倒したこと根に持ってるの。」
神「・・・・・」
神田は眉間にしわを寄せながらただ黙々とレイラの隣を歩いていた。
「負けず嫌いめ・・・・」
レイラは小さくそう愚痴をこぼした。
神「あぁ!?」
とたん、神田がものすごい形相で彼女をにらみつけた。
「っ。」
初めて怒鳴ったときのように。
レイラはまた驚き身をすくませた。
目を潤ませはしなかったけれど。
また彼女に怒鳴ってしまったと神田は罰の悪そうな顔になる。
レイラはどうしたら普通に話せるものかと悩んだ。
神「わりぃ。」
神田が謝る。
レイラは苦笑いした。
「神田の怒鳴り声は魔物の雄たけびより性質が悪い。」
神「・・・なんだその表現。」
「神田が怒鳴ると誰でも身がすくんじゃうてこと。」
フォローしたつもりだったけれど神田は傷ついたらしい。
眉間にしわを寄せ、「そうか・・・」とだけ彼はつぶやいた。
「あ、いや今のは嫌味とかそんなんじゃなくて、」
と言っているうちにフォードヘルについてしまった。
神田はレイラの言葉を無視して「ついたぞ。」とあごでくいっとそこを指し示した。
レイラは素っ頓狂な声を上げて前を見る。
するとそこは紛れも無くフォードヘルだった。
たて看板には「ようこそ、フォードヘルへ!」とご丁寧に書いてある。
「あ・・・」
先にすたすた進んでいってしまった神田。
レイラはうまく神田に先ほどの言葉を伝えることができないまま彼の後を追った。
せっかく仲間になったというのに、気まずい二人であった。