01
「ユー君っていうの?」
神「神田だ。」
「でも王様はユー君って・・・」
神「神田だ!!」
「っ。」
いきなり大声を出されたので驚いて身をすくませるレイラ。
いくら勇者であっても、まだまだ旅をし始めたばかりなほとんど普通な女の子である。
怒鳴られて驚かないわけが無いし、なきそうな瞳にならないわけも無かった。
神「な・・・わ、悪い。」
少し涙目のレイラに謝る神田。
彼はあわてながら謝った。
彼らはひとまず魔王のいる魔界へ行くための手段を探そうと今一番魔界に近いといわれているヘルタウンに向かっていた。
本当はフォードヘルという名前である。
ヘルは意味合い的に地獄や魔界などをさすから単にヘルタウンと呼ばれたのかもしれない。
そんな恐ろしい名前の町だけれど実際は至って平和な町だった。
「・・・別に、驚いただけだから。」
レイラはぐす、と鼻をすすってから答えた。
神「・・・わりぃ。」
「・・・・」
神「・・・・」
二人の間に沈黙が訪れた。
そのとき。
【魔物の群れが現れた!】
テロップが流れて魔物たちが彼らの前へと現れる。
レイラと神田は順番でコマンドを選んだ。
【レイラは空から稲妻を呼び寄せた!】
【魔物の群れにそれぞれ100のダメージ!】
【神田ユウの攻撃!】
【魔物Aを倒した!】
【魔物Bの攻撃!】
【レイラはひらりと攻撃をかわした!】
【魔物Cの攻撃!】
【神田ユウに50のダメージ!】
【魔物Dの攻撃!】
【レイラに20のダメージ!】
忙しくテロップが変わっていきやっと一回りした。
「ちょっとユー君、」
神「神田だ。」
「(呼び方なんて別よくないか?)・・・じゃあ神田。
神田はD担当。私はまずB担当するから。」
神「なんでテメェが指図する。」
「・・・勇者だから?」
神「疑問を疑問で返すんじゃねぇ。」
「まぁまぁ。ささっとコマンド選んでよ。」
【レイラは召喚魔法を唱えた!】
【巨大な動く像が現れた!】
【動く像は魔物たちをなぎ払った!】
【魔物たちそれぞれに200のダメージ!】
【魔物B,C,Dを倒した!】
【魔物の群れを倒した!】
【経験値を取得!100G手に入れた!】
最後、倒す相手を分担したというのにレイラの活躍で、魔物たちは一掃できた。
それを神田は面白くないと眉間にしわを寄せた。