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直球勝負

二か月ほど前、ずっと先輩として慕い続けていた人と寝た。

お酒に酔った勢いでのことだった。一夜の過ち。こういう時はきっと、女の方がさっぱりしていれば相手も気負わずに済むだろうと考え、私は、お互いお酒に酔っていたのだから仕方がないと言った。先輩も、とても気まずそうにそうだねと言って、お互いにたった一晩の出来事だとして忘れることにした。

二か月間は、互いにすれ違い、会うことがなかった。お互い忙しい身だったからだ。先輩は教え子を抱える存在で、私は得意の幻術と自身の性別を武器にした、里でも数少ない人間にしか任せられない任務の引継ぎのために、面倒ごとをたくさん抱えていた。

そして一夜の過ちからちょうど二か月たった頃。

私は暗部を辞め、ただの上忍になった。


*


暗部でのことは基本は表沙汰にはならないが、暗部内の情報伝達速度は光だ。元暗部だった先輩もその噂を知ることになるのに、たいした時間はかからなかった。
飲みの席に誘われた。お酒は断り、私は夕食を一緒に食べようと言った。

「久しぶりだね」

「お久しぶりです、カカシ先輩」

二か月ぶりに会ったカカシ先輩はもちろん全然変わらない。いつものように、飄々としていた。

お互いに、どんな話をすることになるかは分かっていたが、夕食を一緒に食べようと言って会うことにしたので、席につき、料理を頼み、料理がお互い届いてから、本題に入ることになった。
私もカカシ先輩も、同じさんまの塩焼き定食。定食屋の仕組みはわからないが、なんとなく、同じメニューなら作る方もさくっと作れるんじゃないかと推測して、カカシ先輩の注文に合わせたのだった。

「で、暗部辞めたって?」

「ええ、まあ」

「もしかして、きっかけはあの夜のこととか?」

「まあ、きっかけといえば、そうです」

質問に、食べながら応えていく。カカシ先輩も初めは自分も味噌汁を飲んだり、さんまの身をうまくほぐしていたけれど、二つ目の質問で早くも手の動きをぴたりと止めた。

「やっぱり、あの夜のことを気にしてるってこと?」

「いいえ」

「…………?」

「先輩、まあ、適当に聞きながら食べてください」

私は箸を置き、先輩の方を見て、先輩に食事を促しながら、先輩を安心させるであろうような言葉を選んで話す。

「きっかけは、あの晩のことでしたけど、私はただ、そのことで、自分の限界を感じたというか、くの一としての自分の盛りが終わったと感じて、もう暗部での私の任務遂行は難しい、と判断したまでのことなんですよ」

「盛りが終わったって、なまえ、お前はまだ24でしょ。大人の女の色気も身に着けだして、これからもっと男を手籠めにできてくるんじゃないの」

「お酒は強い方だと自負してきましたし、多少酔おうが媚薬を盛られようがこれまでは理性が勝ってきたんです。なのに、ただ目の前の肉欲に負けてあろうことか先輩と関係を持つなんて、くの一としては失格です。これじゃあ、任務でいつ失敗してもおかしくないですよ」

私はうちはに匹敵する幻術使いで、それを生かして対象者に情報を抜き取ったと思わせないよう情報を吐き出させることに長けていた。色の任務はもっぱら私の得意分野だった。対象者に、自分と相手が絡み合う幻術を見せるのはある程度は気分が悪かったが、敵が気づかぬうちに情報戦でこちらを有利に働かせられるこの大役には誇りがあった。

それを知っていたカカシ先輩は、だから突然暗部をやめた私を心配してここまで来てくれたのだろう。

「お前ね……真面目だねほんと」

「私としては、正しい判断だったかなと」

「ま、そうかもな」

いつも飄々としていて、写輪眼なんか使っていなくても何でもお見通しみたいなカカシ先輩が、普通に納得してくれてよかった。
読み取られないように、細心の注意を払って普段通りを装ったお陰だ。
私は安心して、さんまから身をとり、口に運ぶ。

「にしてもお前、あの時って、普段とはかけ離れてんのね」

「…………」

「前々から、お前みたいな堅物が色の任務でエースだったのが信じられなかったけど、あれじゃ納得だよ。お前ほんとはむっつりでしょ」

「それ、セクハラ発言じゃないですか?」

この話題をこれ以上深く進めたくなかったので、私は終止符を打たせられるような言葉を選んだ。
いつもだったらここで適当に話をそらしそうな先輩だったが今日は違った。

「いや、まあ……むっつりってのは言い過ぎたかもしれないけど、普段とはまるっきり違ってたのには驚いたんだよ」

「酔ってましたから……」

「そう、そう、お互い酔ってたよね。で、あの……さ、ここからが本題なんだけど」

「え? これが本題じゃなかったんですか?」

「今のも十分大事な話だったけど、俺としてはもっと重大なことを聞きたかったのよ」

カカシ先輩は箸を置き、回りを瞬時にざっと見渡してから、私に顔を近づけた。

「もしかしてお前、妊娠した?」

「は?」

声を潜めてまで何を聞くかと思ったら。

「えっ、違うの? なんだ、安心した」

「というか、あの夜、先輩ちゃんと避妊具使ってましたから」

「ああ、そうだったのか。ちょっとうろ覚えだったから、そこの記憶が曖昧で」

「もしかして私が妊娠したから暗部辞めたと思ってたんですか? それだったら普通の忍に戻ってませんよ。休職するでしょう、普通」

「えぇ……じゃあなんで辞めたの」

「だからさっき言った通りですって」

「まさか。お前、嘘ついてて本当だって思わせたいとき、絶対に俺から目をそらさないくせして。さっき理由聞いたときだって一切目をそらさなかった」

「…………理由がどうであれ、先輩のせいで暗部を辞めたわけじゃありませんから」

私は今度は目をあわせずに言った。
本当は、半分はカカシ先輩のせいのようなものだ。でも、それは知らせたくない。お互い今まで、先輩後輩としてそれなりに仲良くしてきた。先輩は私のことは後輩にしか見えていないはずなのだ。わざわざその関係性を壊しにかかるなんて馬鹿げてる。

「それでも俺と寝たの気にしてるよね」

「それ、先輩の方じゃないですか? さっきから、先輩は関係ないって言ってるのに」

「俺だって気にしてるよ。後輩に手出したんだから。それに、俺は関係なくはないでしょ? だってお前が暗部辞めた原因俺だし」

「はぁ……もう、別に理由はなんだっていいじゃないですか」

「いやいや、こっちだってほんとのこと言ってもらわないと気になると言うか、後味? 悪いと言うか」

「理由はなんであれ、カカシ先輩が気に病まなくて大丈夫な理由ですから、本当に」

カカシ先輩はやっぱりいろんなことを見抜いていた。私が嘘の理由を言ったことも、私が先輩と寝たことを気にしていることも。

私はだんだん追い詰められているような錯覚に陥ってきた。どれだけ言葉を重ねようと、表情や視線ひとつで全て見透かされているかと思うと、どうしたらいいかわからなくなる。

「あー……なんかごめんね、ずけずけと聞きすぎた」

またカカシ先輩は見抜いているみたいだった。私が先輩の言葉でどんどん、逃げ道を失っていることに。

「そう思うなら、もう、この話はこれくらいでいいでしょ? 今日はもう、食べて明日の任務のために英気を養いましょう」

「そうだね」

私たちはそれから、ぽつりぽつりと話ながら食べた。お互い、いつの間にか食事の手を止めて話していたから、さんまも、味噌汁も、冷たくなってしまっていた。

いつもはなにかうまいことを言って奢らせるカカシ先輩が珍しく奢るよといって、会計を済ませてくれた。

「一応、家まで送るよ」

「何言ってるんですか。お互い上忍なのに」

「まあまあ」

心配だから、というカカシ先輩。
今日は酔っていない。それに辺りは暗いとは言っても、まだ9時だ。人気は十分にあって、まだ安全だ。私の家の周囲も、この時間帯であれば往来がある。
まさか送り狼になるのか、と勘ぐったが、そのことは指摘できなかった。そんなはずないという思いと、それを指摘して実際違ったら、カカシ先輩のことだから、からかうか私のその発言の真意を見定めようとしてくるはずだという予測に怖じ気づいたからだ。

結局、家まで送ってもらった。二階建てのこじんまりとしたアパート。
お金を持っていない時代から住んでいた、慣れ親しんだ場所だ。

玄関の前でお礼を言う。

「送ってくれてありがとうございました」

「お礼はお茶一杯で」

「は?」

「別にいいでしょ? お茶一杯くらい」

なんとなく、カカシ先輩に妖艶な気配が混じりはじめていた。
私は鈍感じゃない。むしろ人の機微に敏感だ。これまで気づかないようにしていたが、やっぱりカカシ先輩は夕食のときからずっと、私の真意を図ろうとしていた。きっと私の気持ちなどすでにばれている。
しかし、今、卑怯にもカカシ先輩は最後の決定打を素面の私に委ねていた。告白せずして、確実に私の真意を図ろうとしている。

「…………臆病ですね」

私もカカシ先輩も、という言葉は飲み込んだ。
カカシ先輩は私の辛辣な言葉に眉ひとつ動かさない。

「そうやって、自分の気持ちは明かさずに、私の言葉と行動で私の気持ちだけは知ろうとしている。知ったら先輩はようやく行動するんですか。そうやって、自分を優位にたたせようとしているんですか。よく言いますよね、"惚れた方が負け"」

「…………」

「先輩、上手でした。私が暗部をやめた理由を聞いているようでいて、実際は別のことを知ろうとしていたんでしょ?」

「…………」

「もう気づいているくせに、確定するまで自分からは決して動こうとはしないんですね」

ここまで来たら、もう、私の気持ちも、カカシ先輩の気持ちも、わかったも同然のようなものだった。
でもなぜか、先輩のこの臆病さに腹をたてて、先輩に伝えられない自分がいる。私が一言、お茶をいれるから入ってください、と言えば叶うはずのことができない。かわりに、自分だって臆病なくせに、カカシ先輩のことを責めている。

私はカカシ先輩に背を向け、玄関の鍵を開けた。それから、ドアをあけ、中にはいる前にちらりとカカシ先輩を振りかえる。

「カカシ先輩。お茶は今切らしてるんです。だから今日はこれで、ごめんなさい」

私はそのまま中に入り、ドアを閉めた。内鍵に手をかける。

「っ」

そこでドアが開いた。
外の方が明るいせいで、黒い塊に見える先輩が、私を覆うように抱きついた。びっくり固まって、私はそのまま抱き締められた。

「…………なまえ、好きだ」

「先輩」

「酔って寝た日、お前は酔った勢いでの過ちだって言ったけど、俺はそうじゃない。お前が暗部での仕事にも関わらず、自分の仕事を誇ってる姿がずっと眩しかった。真面目で責任感強くて、一人で頑張ろうとするくせに、俺にだけは頼ってくれることとか、奢らされるとしょうがないって笑うとことか、好きだったから、酔ってるお前につけこんで抱いた。前に、色の任務をし始めた最初、幻術で使えるようになるために体をはったって、俺に打ち明けてくれたときは、抱き締めて慰めてやりたかったし、俺がそういうの全部忘れさせてやりたいって思った。本当は全部、俺のものにしてしまいたくて、任務も、幻術でするのが基本とはいえ、知らない男がお前を抱いたんだって思い込んでるだけで、嫌になった。俺はそれくらい、ずっと、好きなんだよ、好きなんだ」

先輩の切実な声が高ぶっていくにつれて、私もどんどん気持ちが高ぶった。
私は先輩の背に手を回して、ぎゅっと抱き締め返す。

「先輩、さっきは臆病者だっていって、ごめんなさい。私だって臆病者のくせに、先輩を責めてしまいました。私も、先輩が好きです。たぶん、酔って体を重ねてしまった日から、好きなんだと思います。これまでずっと、体を重ねる行為は、男の身勝手なものだって、思ってました。初めて色の任務についたときも、男に幻術を使っているときも、いつも私は相手の独りよがりに合わせてた。でも、カカシ先輩と体を重ねたあの日、初めてそうじゃないって知った。先輩はずっと優しくて、何度もキスをしてくれたし、愛撫の一つ一つから、愛してるって言ってもらってるみたいだった。カカシ先輩が、好きだと思った日から、色の任務ができなくなるくらい、先輩のことが好きになったんです」

「なまえ……」

うでの力を緩め私を覗きこむ先輩のマスクをゆっくりとおろし、私は先輩に唇を寄せた。
ひとつ、ふたつ、と伺うようにゆっくり重なる。

「カカシ先輩……」

先輩の片眼を覗きこむ。自分のなかに燻りだした熱を見せる。それからまた、唇を重ねる。
私たちは、靴を脱ぎ捨て、唇を重ねあいながら、部屋の廊下を進んだ。

「どっち?」

「右の方」

短い言葉でベッドにたどり着き、そこに寝かされ、上から先輩が覆い被さる。

抱き締めるようにしてカカシ先輩の額あてをとり、ベストのジッパーを下げる。
先輩に私の額あてや先輩のように重ねてきている服を脱がされていく。
キスをしながら、上を脱ぎ、先に私が下着になるまで全てを脱いだ。先輩は上半身裸だ。

「かわいい」

下着のことだろうか。見下ろすと、淡い水色が見える。
胸元に一度吸い付きながら、先輩は後ろに手を回し、ホックをはずした。背を浮かせると、胸を押し付ける形になってしまった。
先輩の手が、首筋から体の横のラインを沿っていく。その優しい手つきが、皮膚だけをなぞるような動きが私の肌を敏感にしていく。
首筋に吸い付き、それから胸元に吸い付いた先輩は体の横に滑らせていた左手を胸にのせ、優しく包み、こねた。
もう片側は、唇が寄せられ、なめられ、唇で挟まれたり、甘噛みされる。
胸が手のひらによって圧迫されるたび、乳頭を舌や唇がこねるたび気持ちよくて、子宮が疼く。
私は、先輩の頭に手を伸ばし髪を撫ぜた。

「先輩、好きです」

言うと、先輩が顔をあげ、柔らかく笑む。

「俺も、好きだよ」

キスをして、舌を絡めあう。先輩の舌はどこか甘い気がした。上顎に舌がかすると、そこから背筋にかけて、痺れが走った気がした。

「私も、」

そういって、先輩のズボンに手を伸ばすと、そこはすでに固くなっている。

「ん、まだ、いいかな」

そういって先輩は私の下着に手をかけた。

「先にこっち。いい?」

私はうなずき、膝をたて、腰を少しあげる。するりと抜き取られ、ベッドの下に下着は落ちていく。
先輩はたてられた私の膝に手をかけて、少し力をいれる。私の膝を開くほどではない。私が自ら開くよう促していた。私は素直に、開く。あまりにもゆっくりしていたから、途中から、先輩が少し力を強めて開いた。

「素面のときは、けっこう恥ずかしがりや?」

先輩が少しいたずらっぽく聞く。

「……当たり前です」

恥ずかしくて、顔を背けると先輩の顔が近づいて、額にキスが落ちた。

「かわいい」

耳元でささやいて、それから先輩は私の秘部で指に愛液を絡め、それから、そのまま入れた。
先輩の長い指がうごめく。すぐに二本目が差し込まれて、ぐにぐにと動く。

「はっ、ぁ」

体温が恥ずかしさと快感による興奮で上昇し、声もつられて呼吸と共に出る。

「カカシ先輩」

ゆっくりと、時間をかけてそこを解すあいだ、私にキスを落としたり、乳房への先輩の愛撫が私に与えられた。

「なまえ、俺も気持ちよくして」

「はい、」

先輩がズボンを脱ぎ、下着姿になる。起き上がってあぐらをかいて座る先輩の前だけをおろし、固く、立ち上がり質量があるそれにそっと触れる。
髪が顔にかかるのが邪魔で、耳にかけたあと、亀頭に口づけた。舌を出し、なめる。亀頭、裏筋をなめながら、片手で睾丸を包み、優しく刺激を与える。

「ね、なまえこっち向いて」

言われるまま、目線をあげる。微笑むカカシ先輩が、ほんの少し火照ったような頬をしている。切なそうに下げられた眉と、熱っぽい瞳が扇情的だ。
カカシ先輩の手が、落ちかかった私の髪を耳にかける。視線をあわせたまま、私は先輩の陰茎をなめ、それから、亀頭を口に含んだ。

「なまえのその目、すごくそそる」

くわえているせいで、答えることはできないが、私は愛撫を強めた。

「っ……」

カカシ先輩が、切なそうにしている。声こそ出さないが、息を乱している様子や、先輩の屹立が大きくなっていくのがわかって、感じてくれているのだと思うと嬉しかった。そして愛しかった。また、子宮が疼く感じがした。
尿道口を舌で刺激すると、一段と息が乱れ、手で陰茎を擦りながら、亀頭を攻める。

「なまえ、も、いいよ」

と、二回言われるまで、私は愛撫を続けた。

「いれていい?」

そういわれて、私はうなずいた。先輩は避妊具をつけると、私をゆっくり押し倒し、それから額にキスをして、ゆっくり先輩のを押し入れていった。

「はぁ、ん」

入っていくだけで、微弱な快感があった。先輩のを受け入れているということ自体に感じて、歓喜していた。愛しさが込み上げて、その強い感情の高ぶりで涙が出てくる。

「全部はいった……なまえ?」

全部はいってから、私のほうに顔を向けた先輩は私が少し泣いているのを見てぎょっとした。

「カカシ先輩、好きです。大好き」

私は先輩に抱きついて好きだと連呼した。今まで好きな人と繋がったことはなかった。好きだと自覚して、改めて繋がることができた喜びは、心にも体にも現れた。入っているだけで、何もかもが気持ちよく感じる。触れている素肌も、先輩のからだの温もりも、私の肌にかかる先輩の吐息も。

「なまえ、」

起き上がってきた私を抱え、あぐらをかいた上に座らせて、先輩は律動した。

「ん、ぁ、ぁ……!」

気持ちよくて、声が出た。

「は、なまえ、なまえ」

私の名前を読んで、私の耳元で吐息をはく先輩に、私は余計熱をあげ、快感を拾っていく。先輩が私を押し倒し、動きを激しくした。

「先輩、せんぱ、い」

揺さぶられ、逃がしきれない快感でどんどんそれだけしか考えられない。

「あぁっ! 先輩、だめ、そこ……!」

突然、秘豆が刺激された。先輩が律動しながら指で刺激していた。

「やばっ、中締まる……っ」

先輩の気持ち良さそうな艶のある声。

「そんな、どうじしたらぁっ……!」

私は先輩の腕に手をかけるけれど気持ちよくて止められなかった。どんどん蓄積していく快感が、溢れかえりそうだ。

「先輩、先輩っ……!!」

「ちょ、もうイきそうっ……」

「イク、イっちゃう、ぁ、ぁぁああっ」

びくびくと体と膣が震えた。それにともなって、私は先輩の性器の形がわかるほど、収縮した。先輩はその締め付けの中、何度か動かすと、避妊具の中で果てた。

「ぁっ!」

イったばかりで敏感な時に、先輩がずるりと自信を引き抜く。それから避妊具を処理すると、まだ余韻で快感を引きずる私の横に倒れこみ、私をその腕の中に抱き締めた。
お互い息が乱れていて、目の前で動く先輩の胸板の素肌は心地よかった。
首筋をさわられるだけで、子宮がまだ疼く。あと少しだけ引きずりそうだ。

「大丈夫……?」

「大丈夫です……」

顔をあげると、カカシ先輩がとても優しく見つめていた。私はちょっと切ない気持ちで、先輩の唇のよこにキスをした。

「なんで、キスしてよ」

「でも……」

先程、先輩のものをなめたから、あまりキスをするのはよくないかと思ったが、先輩は気にしていないのか、キスしてくれた。

「はぁ……好き……」

また先輩の胸のところにうずくまり、息をつきながら改めて好きだと思った。汗ばんでいる肌に唇を寄せると、少し筋肉が動いた。

「ねえ……その……これから、どうするの」

「どうするの……って?」

「本当に色の任務はやめちゃうのかってこと」

先輩はそのことがやっぱり気になるみたいだ。私が今まで誇りに思っていたことをやめたことを気にしているのか、それとも、これからまた私が続けるかもしれないのが不安なのか、どちらかはわからないけど。

「先輩、私、これまで自分と好きでもない人が体を重ねている幻術なんて、多少は気分悪くても平気だったはずなのに、先輩と初めて体を重ねた日から、強い嫌悪感があって、できなくなってしまったんです。今まで好きな人とする行為を知らなかったから、余計、先輩との行為のあとだと、すごく辛くて……。だから、もう色の任務はすることはないと思います。できないから。火影様も、許してくださいました」

「そう……」

「確かに、色の任務は私の誇りでした。私が一番、この里で役に立って認められる方法だったから。でも、今は先輩がいるから」

先輩はぎゅっと抱き締めていた腕に力を込めた。
私はちょうど先輩の乳首のところに自分の唇が重なって、つい出来心で乳首をなめてみた。

「おわっ」

「ふふ」

体をびくりと震わせる先輩にいたずらが成功したときのような笑みを浮かべる。

「この」

「ちょっと、ぁっ、」

私たちはお互い疲れて眠気がくるまで睦みあった。

翌朝は、お互い寝坊して、私は任務の召集にあやうく遅れそうになり、先輩は教え子たちとの集合に遅れたのだった。

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