02 ―真斗視点―

目を開けるとまだ少し薄暗い天井が見えた。
身体を起こしカーテンを開けると外の明るさも室内の明るさも変わらないと言っていいほどに
太陽の光が分厚い灰色の雲に遮られていた。
ちらと横を見ると同室者である神宮司はまだ寝ているようだった。
まあ起こす気など心底ないのだが。

自分1人分の朝食を用意し、食べた後、制服に着替え学校へ行く準備をする。
ネクタイを結びながら窓際に立ってみるが先ほどの天気と変わりなく青空を覆う雲しか見えない状態だった。

(…今日1日この天気だと、青嵐が落ち込みそうだ)

そう考えてハッとする。何故俺はあいつのことを考えて……
自分の顔が少し熱を帯びたのを感じて頭を左右に振る。
だが確かにあいつはこのような天気が好きではない。
元の陽気な性格からだろうか明るくキラキラしたものが好きなあいつの好きな天気はもちろん晴れ。
雨や雲の日はなんとなく陰鬱な顔をしていたのを覚えている。
陰鬱な顔と言えば、最近のあいつはどうも暗い顔をしている。
元気がない、というのか。いつもならうるさいほどに騒いだり
うっとおしいくらい抱き着いてきたりするのだが、話しても上の空のことがあった。
何か悩みがあるのかと不安になったがそうでもなさそうだ。
前に、俺たちはパートナーなのだから隠し事はやめろ、とそう言った。
あいつはそれに笑顔で返事をした。俺はあいつのそういうところは信用している。
だがら俺に言わないなら悩み事ではないのだと思う。
なら、なんだ?………………。

…考えてみたが本人に聞いてみないとわからないことだと思い、思考回路を停止させた。

とりあえず、学校に行こう。
そう思い俺は自分の部屋のドアノブを捻り外へと出た。



今日の朝は思ったよりも寒い。
首のマフラーを少し上にあげて少しでも顔に冷たい風が来るのを防ごうとしたが意味がないようだった。

(今日は少し早めに家を出てしまったな…)

まあ、早いに越したことは無い。
それに聖川の名を持つ俺が遅刻などするわけに行かない。
行くのなら早く言って予習復習でもしようと思い俺は歩くスピードを速めた。


さすがにこの時間にまだ生徒はいないだろうと思い教室へ入ると
そこには珍しい背中が見えた。

「……青嵐?」

名前を呼んでも振り返らない。眠っているのだろうか。
そう思い自分の席まで行き腰を掛け青嵐の方を見るが
寝ているわけではなくただぼーっと黒板を見つめているようだ。
…様子がおかしい。

「おい、青嵐。」

青嵐の目の前まで行きそう呼ぶとやっと俺の存在に気付いたのか
ぼやけた目で俺を見つめるとふやけたような笑顔で

「…あ、Ciao!(やあ!)、まさと」

と言ってきた…が。いや、どうもおかしい。
目の焦点が合っていないような気もするしどこか顔色も悪い。

「大丈夫か?何か様子が……」

心配しがちに俺はそう言ったが奴はふざけたように返事を返してきた。

「んー…真斗がちゅーしてくれたら治るかもしれないな」

………こいつは。人が心配してやっているというときに…!!

「ふ、不埒なことを言うな。誰がお前に……せ、せせせ接吻など…」

「………。」

…?いつもならここで騒いで反論してくるのに黙り込んでしまった。
俺の言葉に傷ついたのか…?それなら謝らねば…
いやしかし、こいつが俺が心配しているというのに不埒なことを言ってきたから…

ぐるぐる考えていると教室に誰か入ってきた。
「おっはよぉー!」
明るい声でそう言ってきたのは一十木音也。
俺は静かに「おはよう」と返すと
横目でちらりと青嵐を見た。
と、反応がない青嵐を不審に感じたのか一十木は
青嵐の近くまで来て顔を覗き込むと心配したような表情で

「…なんか……あったの?」

そう聞いてきたのであった。

[ 2/6 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -