上出来だ。あとは俺に任せて寝ていろ


性に目覚めたばかりの好奇心と、無知故の大胆さというのは、ひょっとしたらその道のプロよりも刺激的かもしれないと、リヴァイは必死に自身を咥えているマホの揺れる頭を見ながら思った。
初めて彼女と交わってからというもの、恋人の時間を過ごす時は、必ずといっていいほど体を重ねるようになった。
別にリヴァイから誘っているというわけでもなく、どちらかというとマホの方が、そんなムードを醸し出してきて、それにリヴァイが応えてやるというのが多い。加えて毎度毎度新しく覚えたテクニックとやらを必死で披露してくるので、実のところリヴァイからすれば、なかなか自分のペースで進められないという事に若干のフラストレーションが溜りつつあるのだが、一所懸命なマホの姿についつい付き合ってしまうのだ。
今日は「最後まで口でしたい」という要望を出され、マホに下半身を任せる事既に30分、射精感は一向にやって来ない。
下手くそ、というわけではない。その証拠にしっかりとリヴァイの自身は勃ち上がっているし、リヴァイは仁王立ち、マホはしゃがみ込んでという体勢は視覚的にも興奮させられる。
だが、慢性的に与えられる刺激は、“気持ちイイ”とは思えても“快感”までがなかなかやって来ない。
時間が経てば経つ程、一方的に与えられる刺激にどことなくしらけた気分にもなるのだ。
それに、マホも疲弊しているのだろう。最初に比べたら随分とペースは落ちている。

「おい……マホ」

もういいだろう……という意味を含んで、彼女の頭にソッと手を置けば、リヴァイのモノを咥えたまま、マホは上目使いの瞳を悲しそうに潤ませている。
彼女の頬を手の平で包んで、自分の下半身から顏を離させようとするが、プルプルとマホは泣きそうになって首を振る。
視覚的には本当に、ゾクリとさせられる程に“イイ”表情をしてくれているのだが、正直このままでは生殺しだ。

「もう充分だ。このままだと朝になっちまう」

そうリヴァイが言えば、マホはようやくプハッとリヴァイのモノを口から出して、余程疲れていたのか顎を撫でさすりながらも、酷く申し訳なさそうに眉を下げた。

「す、すみません……兵長。私が下手くそだから……」

上手くても困る、と苦笑して、リヴァイはマホの両脇に手を入れて抱き起すと、そのままベッドへと彼女を仰向けに倒した。

「いや……。上出来だ。あとは俺に任せて寝ていろ」
「だ、だけど……」

まだ何か言いたげな口元に触れるだけのキスをして、聞き分けのない子供を宥めるかの様な口調でリヴァイは言う。

「俺は、お前と一緒にイケる方が嬉しい」
「えっ……」
「勉強熱心なのは感心するが、エロ本よりラブロマンスの小説でも読んだ方が良いんじゃねぇか」
「そ、そうなんですか!?」

自分の恋人は恋愛に関して無知な分、やはりその方向性がおかしい、とリヴァイは実感した。
それに加えて元々何にでも一所懸命に取り組む性格なのだ。性の勉強はエロ本だと認識してしまったら一直線になってしまったのだろう。
軌道修正にかける時間ならこれから先もずっと沢山ある。
まずは甘いキスの手解きから始めようか……。
無知な恋人を前にリヴァイはほくそ笑んだ。

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「あ、あの兵長!騎乗位……ってのを試してみたいんですが」
「おい、マホよ。……お前はまた……何を読んだんだ」

フン、と鼻息を荒くしているマホの軌道修正には、やはりまだまだ時間がかかりそうだ……と、呆れつつも、それも悪くない、とリヴァイは思うのだった。

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