聞こえなかった振り


白い肌を情欲的に赤く染め、愛を乞う様に伸ばした腕を首に絡み付けてくるマホを見下ろして、リヴァイはそれから与えられる官能的な刺激にペロリと舌舐めずりをした。
彼女のナカに挿し込んだ欲望を、強く奥へと打ち付ける度、思った通りの甘声が部屋に響き、それがリヴァイはこの上なく嬉しかった。
もっと、聞きたい、もっと、引き出したい……と動きを速めれば、白い柔肌をプルンプルンと揺らして、厭らしく開いた口は、快感に咽び泣きながらも何か言葉を紡ごうと震えだす。

「せ……んせぇ……り、ヴァい、せん……せっ」

吐息交じりに呼ぶ声に、己の欲がズンと熱くなるのを感じながら、リヴァイはよく聞いてやろうと、マホの上に覆い被さる様にして彼女の口元に耳を近付けた。
その間も休む事ない腰の律動に、マホは甘苦しい声を零しながら、途切れ途切れ、リヴァイの耳に囁く。何度か耳を掠める彼女の唇の感触に、かかる吐息に、リヴァイの口からも「……っは、」と、声にならない喘ぎが漏れた。

「す……き、リヴァイ、せんせ……大好っ……あっ……あ」

マホがそう告げた直後、最奥まで貫いた自身からドクッドクッとリヴァイは欲を吐き出した。

「は……もぅ……気持ちい……」

トロリとした瞳でそんな声を漏らしたマホの頬を、スルリと撫でてやってから、リヴァイはようやく落ち着いた自身を彼女のナカから引き抜いた。
撫でられた頬を嬉しそうに、だけどほんの少しだけ寂しそうにマホは額に汗を滲ませて笑った。
チクリ、と胸を刺す痛みに気付かない振りをして、マホの頬から指を離すと、彼女に背を向けて欲の溜まった袋を取り外しゴミ箱へと放り込んだ。

“す……き、リヴァイ、せんせ……大好き”

聞こえなかった振りで済ませた言葉。
何か応えてやったら、マホはもっとずっと嬉しそうにするのだろうか……。

ごみ箱へと沈んでいった欲を見つめたまま、ぼんやりとしているリヴァイの背中にピトリ、と熱を帯びた肌が吸い付いて来る。

「……おい」

離れろ……とリヴァイが言う前に、マホの腕がギュッと彼の胸に回った。

「すみません、ちょっとだけ……」

“拒絶してやるな”と脳が下してくる命令に、リヴァイはハァと溜息を吐いて、胸に回ってきたマホの手に、自分の手を重ねた。

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