novel | ナノ


▽ 1:精霊、出会い


気がついたら、目の前には崖と曇り空。見下ろしてみたらどうやら自分はとても高いところにいるらしい。
何故自分がここにいるかも思い出せない、いや、

そもそも、僕は―――誰だ?

そう呟いた彼の意識は、何者かの手により沈んでいった。





四大精霊の再召喚をする為、ニ・アケリアからミラの社へと向かう3人組がいた。
黒髪の少年と金髪の女と茶髪の男。

「―――この奥だ」

金髪の女―――ミラが口を開く。その言葉を聞いた少年、ジュードがミラに問う。
「ミラは、ここに住んでるの?」
「住んでいる、か。そう考えたことはないが、そういう事になるか。」
茶髪の男、アルヴィンが口を開く。
「何もないところだなぁ。退屈じゃなかったのか?」
使命においては、なんの問題もない、とミラが返し、3人組は社の中へと入ろうとした。

社の中に入った一行は目を見開く。
本来、人はあまり近寄らないはずの社に、金髪の少年が倒れていたのだから。青いチューブトップに黒いマフラー。綺麗な金髪にはぴょこんとアホ毛が立っている。
再召喚は後にして少年から話を聞こうとするジュードだったが、ミラは再召喚が先だと譲る気はない。
そりゃ怪我はしてないみたいだけど、と話そうとしたジュードの台詞は、少年の目が覚めた事により遮られる。
「ん…ここは?」
少年の若草色の目を見たジュードは、懐かしい気持ちになるがそれに気づくことはなく、少年に話しかける。
「君、大丈夫?ここに倒れてたんだよ?」
「えっと…僕が?」
少年はまだ寝ぼけている様子でジュードの問に答えていく。
「ねえ、君は何でここにいたの?」
「えっと…分からないんです、気づいたらここに…それにそもそも、」
その後続いた少年の言葉に、ジュードは驚く事しかできなかった。
「僕は……誰ですか?」



『記憶喪失か…また面倒な事に…』
『私達は覚えていますし、さっさと言ってしまいましょうか?』
『だが記憶喪失の方が誤魔化す必要とかがなくなるからやりやすいかもな…』
『そんなんでいいんですか……?』

prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -