短編 | ナノ

お誕生日おめでとう(迅/ワートリ)

本部に行くと珍しく1人で黄昏ている迅さんを発見した。しかもぼんち揚げも食べずにただ、窓の外を頬杖をついてぼんやりと眺めている。

「迅さん」

声を掛けたが、振り向かない。
何にそんなに集中しているのかと考えたら、窓の外には人が行き交っている光景が見えた。ああ、いつもの仕事か。そう感じながらも脳内でさらに違うことを考え出す。最近本当に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟かれた「疲れるんだよなぁ」の一言が今でも忘れられない。

「迅さん」

「ん、あぁ奈々じゃん。どったの?」

きっと迅さんは私の顔を見たから、すぐの未来なんてお見通しのはずなんだろうが、知らないふりを決めてくれている。優しいなぁ、私だったら絶対に無理だ。

「ちょっと早いけど、お誕生日おめでとうございます」

「…それで奈々は俺にプレゼント渡してたのね」

忘れてたー。呑気に呟かれる言葉に忘れてたんかよと心のなかでツッコミを入れつつ、明日みんなに祝われる迅さんの姿を想像して笑う。
そんなのは副作用を使わずとして分かりきっていることだ。果たして、目の前にいる人は自分がいかに皆に重要かつ素敵な影響を与えているかなんて、微塵も思っちゃいないだろう。

「今年も1年、良いことが多いと良いですね」

「そうだなー。…ぼんち揚げ食う?」

「いただきます」

今年も、こんな平和が続いたらいいのに。


‡‡‡‡お誕生日おめでとう
(町中の人たちの未来も、幸せであれ)


(どうか悲しい未来をみなくてすみますように)


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迅さん今日はしっかり真面目に書いてみた!!w

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