運命は交差している | ナノ
01

「はじめまして」
「はっ、はじめまして…!!」
aaaとサンジが出会ったのは、aaaが大学に入って、二ヶ月経った六月のことだった。

aaaは大学に入り、高校生活が勉強詰めだったため、良いスクールライフを送るためサークルに入ることを決意し、初めての一人暮らしをすることにもなったので、料理の出来ないaaaは料理サークルに入ることにした。
(どどど、どっ、ドキドキする…!)
人と話すことに慣れていないaaaは調理室の前で部屋に入ろうか入らないか悩んでいた。
顔が、体が熱くなっていく。
aaaは震える手で扉を開けようとした、その瞬間。
「レディ、そこで何してらっしゃるんですか?」
aaaは声を掛けられた。
「ひょわぁあ!!」
大袈裟に驚いたaaaは心臓辺りを手で押さえながら、後ろを振り返った。
「え、えと……」
「……料理サークルに入った子?」
「はっい!」
声が裏返った。
なんせ、声を掛けてきたのは大学でも格好良いと評判の大学四年生のサンジだ。
仕方のないことと言える。
「おれも料理サークルに入ってるんだ。おれの名前はサンジ。よろしく、はじめまして」
「はっ、はじめまして…!!」
サンジが手を差し出し、aaaは緊張のあまりガチガチに体が固まりロボットの様にサンジの手を握った。
サンジがその様子に苦笑している。
「気楽に。そんなんだと料理はしにくいよ?」
「あ…、あう…」
サンジがぽんぽんとaaaの肩を叩き、部屋の扉を開けた。
甘い香りがaaaの鼻腔を擽る。
「いい匂い…、わ、私も作れるようになれますか…?」
「うん、出来るようになるよ、絶対」
にこ、と屈託のない笑顔をしたサンジに、aaaは胸を高鳴らせた。
(か…っこいい……って当たり前か…!)
サンジに招かれ、aaaは調理室へと入っていった。

サンジは部屋に入った途端、中にいた女の人たちに囲まれ、aaaはぽつんと突っ立っていた。
しかし、調理器具を用意しているサンジに手招かれて、女の人を掻き分けてサンジに歩み寄った。
「わわわ私…、料理全然出来ないんです…!!」
「…何か作ったことは?」
「えっと…、肉じゃがだけ、肉じゃがだけは作れます……おいしいかわかんないけど」
語尾を小さめに言うと、サンジは笑いながら、食材を手に取った。
「じゃあ…、今日のメニューは、あかうおの竜田焼きね」
「あかうお…?たつ、た?」
サンジは魚を捌いていく。
頭と鱗を取られた魚の切り身がまな板の上に二、三枚ほど並べられている。
「aaaちゃん、これに片栗粉まぶしてー」
「は、はい」
片栗粉に魚をぎゅうぎゅう押し付ける。
「そんなにしなくても大丈夫だから」
肩の力抜いて、とサンジはウィンクをする。
「ご、ごめんなさい…」
「大丈夫だよ」
サンジはaaaから魚を受け取り、フライパンで魚を焼いていく。
きゃあきゃあと周りの女の人が歓声を上げた。
(魚焼いてるだけだけど…。いやポーズは決まってるけど!)
フライパンからジュウウと音がした。
サンジは魚を皿に載せ、aaaに差し出した。
「どうぞ、サークルに入った記念に」
サンジはイスを引いてaaaを座らせ、どうぞともう一度言った。
「い、いいんですか?…私だけ」
「早く食べて、感想!!、ま、おいしいのは当たり前だけど」
「私も食べたーい」
口々に言う女の人たちを気にしながらaaaがサンジを見ると、サンジはお茶を注いでいた。
「あの…」
「ほら、食べて。あ、魚嫌いだった?」
「いや、そういうわけでは…」
周りの女の子たちの声を気にしながら、aaaは魚を口に運んだ。
「…おいしい」
サンジの作った料理は、自分が食べたどの料理よりも格段においしかった。
「ありがとう」
サンジの笑顔に、aaaは惚れた。

「今度さ、肉じゃが作ってよ」
「へ!?で、でも、おいしくないと思いますよ…」
「お願い、ね?」
「あ、は、はい…」


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