運命は交差している | ナノ
03

告白しようと思います。

そうは言っても会うことも話すこともなく、bbbはタイミングを逃し続け、今は三月。
卒業式を迎えてしまった。
(もう会えなくなるっていうのに…!)
心臓が心拍数を上げて今にも口から出てきそうなほどバクバクと鳴っている。
まだ告白する時でもないというのに、なぜかというと。
(そりゃあ…、さっき、シャンクス教授に会ったから…)
卒業式のためにホールに行く途中、シャンクスがきちんとスーツを着こなしてどこかへ歩いていくのを見た。
久々のシャンクスに、bbbの胸は電撃を与えられたように激しい鼓動を為した。
(…こんなんで、告白できるのかな。会ったら死んじゃうんじゃ…)
小さく深呼吸を繰り返して、なんとか心を落ち着かせる。
しかし、卒業式が終わっても心臓は高鳴ったままだった。

(どうしよ…)
いまだ覚悟しないままシャンクスの研究室にやって来てしまったbbb。
扉の前で入ろうか入らまいか悩んでいると、ガチャリと扉が開いた。
「うおっ!」
「わっ!」
シャンクスはbbbに、bbbは突然開いた扉にぶつかりそうになり、声を上げた。
「悪ィ、当たってねぇか?」
「あ、はい、大丈夫です」
シャンクスは朝見かけた時のスーツ姿ではなく、白いシャツに緩くネクタイをしていた。
(これはこれで…)
「なんか用だったか?」
シャンクスの左袖がひらひらと靡いた。
「あ、はい…あの、教授、」
「おれちょっと便所行ってくるから部屋ん中で待ってろー」
シャンクスはbbbの背中を押して研究室の中に入れ、トイレに行ってしまった。
「……」
bbbは初めての研究室を物色した。
難しそうなタイトルの本が本棚にたくさんある。
(よく考えたら…教授の研究室入るの初めて…)
覗くことはあっても、入ることはなかった。
すん、と何気なく息をすると、シャンクスの匂いがして、切なくなった。
「シャンクス教授…」
「うん?どうした?」
「ひょわあ!」
後ろからいないはずのシャンクスの声がして、bbbは変な声を出した。
「なんだよ」
シャンクスは自分のイスに座り、その辺にあったパイプ椅子を指差し、bbbを座らせた。
「あ、あの、私今日で卒業するんで…挨拶をって思って」
「へー…、そりゃ律儀だな」
シャンクスはデスクにあったマグカップを取って、コーヒーを飲んだ。
「シャンクス教授、四年間、お世話になり…ました…!」
頭を下げると、四年間の思い出が走馬灯のように頭を巡って、涙が溢れた。
「bbb…」
「シャンクス教授、私、……教授のことが好きなんです…っ」
思わず口をついた、シャンクスへの想い。
「ごめんなさい、恋人いるのに、諦めきれなくて……」
ぐい、と涙を拭いながら、bbbが言った。
「恋人ってなんのことだ?」
シャンクスが首を傾げた。
「え…?だって、指輪……あれ?、ない!」
bbbがシャンクスの腕を掴んで、薬指を確かめるが、指輪はない。
何度も目を擦るが、指輪はない。
「どうしたんだ?、あるわけねェだろ」
はははと明るく笑うシャンクスに、bbbは疑問符を浮かべる。
「だって、前…!夏に、指輪が…っ」
「夏に指輪?、ありゃおれがモテて面倒だったから虫よけみてェなもんだ!!」
「モテて…虫よけ…」
唖然として口を開きっぱなしにしているbbbの頭をぽんと撫でたシャンクス。
「bbbはおれのこと好きなのか…」
「あ…」
シャンクスはbbbの頬を撫でると、顔を近寄せた。
「え…、教授…!?」
「シャンクスって呼べ。卒業したんだろ…」
優しく、唇が重ねられた。
「ん…っ…シャンクス」
研究室の扉の向こう側からなんだか叫び声のようなものが聞こえたけれど、それは窓の外の卒業生が騒ぐ声とない交ぜになって掻き消された。
「ずっと気になってた、bbb」
「…嘘、そんな、…ありえない!」
「ありえなくねェ。それともおれじゃ不満か?」
ぎらりとした鋭い視線がbbbに突き刺さる。
「絶対にフラれると思ってたから…」
bbbの瞳からぽろりと一筋だけ涙が流れた。
「へぇ。おれはフラれるなんて思っちゃいなかったけどな!…bbbがずっと見てたの知ってたからなァ」
に、と笑ったシャンクスと、顔を真っ赤にしたbbb。
「だっはっはっ!bbbは可愛いな!」
シャンクスがbbbの腕を掴んで引き寄せると、bbbはシャンクスのたくましい腕と胸に挟まれた。
「教授が言ってくれればよかったのに…」
「おれだって教授としての世間体とかあんだって、許せ!な!」
ちゅ、とbbbの頬にキスをしたシャンクスは、にっこりと笑っていた。

「好きだ。絶対来ると思ってた」

ハメられたみたい。
でも好きだから、許してしまう私も私。


prev next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -