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▽ アニメってなぁに


今日もまた、宿題を早々に切り上げたアンタレスは秘密の小部屋に向かった。
その手には、今朝届いたコミック"白子のバスケ"が入った紙袋がぶら下がっている。

マルシベールとアントニンは天文学のレポートが終わらずに血の涙を流していた。
エイブリーとラバスタンは変身術のレポートの長さが足りないらしく、なんとか文字数を増やそうと奮闘していた。

「"サッカーやろうぜ"」

静かな森が描かれた小さな絵の前で、アンタレスは呟いた。
この小部屋に入る合言葉はイナズ○イレブンのセリフだったりする。

中に足を踏み入れたアンタレスを出迎えたのはソーフィンとヤックスリーだった。
2人とも、コミックについている広告の帯を眺めて首を傾げている。

「…どうしたのよ」
「いや、この"アニメ"って何だろうと思ってな」
「絵柄が少しだけ違うんですよ」
「そういえば白子のバスケにもそんな帯がついてたわ…ん?主人公、白子テツロウの声優が決定…」

3人の間に沈黙が訪れる。

「まさか、ラジオ!?」
「レコードかもしれませんね!!」
「いや、それじゃあ絵が変わる説明がつかないだろ」

ソーフィンの静かな声に、アンタレスとヤックスリーはひらめいた。
よく帯を見ればX月X日より放送開始、と書いてある。

「映像、だと…!!」
「声も、ついてるということですよね…!!」
「キャラクターが、動くだと…!!」

一気に興奮した(ソーフィンの表情は変わらなかった)3人だが、すぐにあることに気づいて落ち込むこととなった。

アニメ=マグルの映像
マグルの映像を見る=テレビが必要

テレビなんて、家に置けるはずがない。
回線の工事やらなにやらが必要になるし、それよりも値が張る。

「…理不尽ですね」
「不公平すぎるわ…テツロウ可愛い」
「残念だ…この金瀬うるさいな」
「わんこキャラなんだから突っ込まないであげて」

その夜、アニメについて3人から聞かされた宿題組は余程見たかったのか断末魔にも似た悲鳴をあげて膝から崩れ落ちた。


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