孤独な華。 | ナノ

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Pupil of the wizard




歩いてみた先に なにがあるかなんて
本当にわかる為には
歩いてみなくちゃわからないんだーーー




 僧正が言っていた通り、一行は日も暮れた頃、町に辿り着いた。岩山を越えた先の町は自然に囲まれていて、それなりに豊かそうで賑わっている。宿探しも難航しなそうだ。


『野宿になんなくてよかったー!』

「ねーっ!!」


那都のフードの中に入っているモコナは、一人疲れているわけもなく歩いているみんなを鼓舞しながらテンションは高いままで那都に同意した。
先ほどまでは疲れきった様子だった那都も町に着くとモコナと共にキャッキャと騒ぎ出す。そんな二人を余所に他は静かだ。
 

「あ゛ーーっ 俺もーハラヘッター…」

「お前ずっっっっと言ってんな……」


お腹を抑えて悟空が力無く言えば、悟浄は呆れ顔。この町に着くまでに何度も聞いた言葉だから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
嵐詩が無言で自分のお腹をさすると、冬夜は不思議そうに嵐詩を見た。


『……俺もハラヘッタ…』
『……貴女もですか』
『孫のが移ったか。』


アハハと苦笑いする横で、椿姫は呆れたように嵐詩を見て、嵐詩は嵐詩であーーと声を絞りだし


『言い返す気力もねぇ……』


と疲れきっている。それを受けて八戒は、んー…とわざとらしく声をあげて苦笑してみせた。


「これは、急いで食事するところ見つけないと、ですね」

「……おい、悪目立ちするなよ」

『手遅れじゃね?』


三蔵の声かけもむなしく、嵐詩の言う通り、悟空も悟浄も那都も、そして自分達ももう町の人たちに遠巻きに見られている。モコナは、一応隠れてはいるが、彼らのような旅人はやはり目立つものなのだろう。
そうとわかってはいてもーー三蔵はハァと、深いため息を吐いた。





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