1/7
Get square
そんなの もう嫌ってくらいわかってたんだ
この世は 案外 物語じみていた事を。
―――――…
『おいっ!急いでどこ行く気だよ』
『ご亭主の所ですよ、オレたちだけじゃないかもしれません。』
冬夜は、切羽詰まったような声で返事する。
俺にそんな発想はなかったから
『あぁ〜…』
と感嘆を漏らしてしまった。
先を走る冬夜に呆れた顔を向けられてすぐ、冬夜の肩に乗っているモコナが言う。
「そ!そう!!朋茗がね、三蔵の部屋で捕まってたの」
『『はぁ?/え?』』「だから、朋茗が敵に捕まってたの!」
『なぜそれを今言う?先に言えよ!!そーゆーコトは!!』『こればっかりは嵐詩に同感です。何も知らせずにアッチ行かせちゃいましたね…』
声を荒げる俺とは反対に落ち着いている冬夜は、肩にいるモコナを軽く撫でて
『次からは気をつけましょーね?』
などと諭している。
モコナも素直に言うことを聞くあたり、上下関係丸見えだよな。
『……にしても、これは本格的に嫌な勘当たり、かな。』
『ハァ?』
『ご亭主だよ。襲われてる可能性高いでしょ?』
苦笑いしている冬夜の横顔を見て、漸く理解した俺はさっきよりも早く走った。
もし、あの親父さんが死んでたら夢見悪ィしな。
← | →
back