孤独な華。 | ナノ

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次の瞬間、那都と4人の控えめな荷物が消えて変わりに1人の少年が現れた。

茶髪に金目、頭に金鈷をはめた少年



「うおおおええええ!?ドコ!!ココ!!つか、え!?誰!?」



『……うるせーの引いたな。』

「えぇ!だれ?」

『……なんでだ。』

『アハハハ……オレが選んで引いたわけじゃないですよ。』


少年は、当たり前のように突飛もないことに驚き騒ぎ始め、嵐詩は げ、と嫌そうな顔をし、モコナは少年に驚き、椿姫は頭を抱え、冬夜は乾いた笑いを浮かべたまま肩を竦める。


「アンタら誰?俺なんでこんなとこいんの!?つか死ぬよな!これ!」


少年は一息に叫ぶように質問ばかりを喋り、嵐詩はうんざりしたように顔をしかめた。
いい加減イライラしてるんだろう。


『うっせ、死なねーし、今地上つくからそれまで黙ってろ。ガキ。』

「なっ!!ガキじゃねぇよ!」


嵐詩の煽るような発言のせいで少年も食いついてくる。それを冬夜が抑えて、少年のことを苦笑いしたまま見た。



『すみません、オレたちのせいでキミまで巻き込んでしまって…。ですが、ちゃんと無事に地上に着くので暫く我慢してもらえますか?』


冬夜の低姿勢、落ち着いた態度に少年も落ち着く。そして、そんな雰囲気に冬夜を良い人と認識したららしく



「わかった!それでさ、なんで俺ここに来たんだ?」


と好奇心溢れたキラキラした目で冬夜のことを見ている。





――…猿っぽい


と判断を下した椿姫は、面倒だし関わらないように口を挟まない。



『え……と、そうですね。オレたちの連れが、具合を悪くしてしまい……あー、うん……』



冬夜は、どう伝えるべきか悩んでいるらしい。言葉を濁す。
この世界には、魔術は無いらしいからくどく説明もしたくない。さて、どうするべきか。
そこで冬夜は、はたと気づく。



―――…あの金鈷は……



『キミ、妖怪ですか?』


失礼を承知で言った冬夜の言葉に反射的に椿姫は銃に手をかけ、嵐詩は長刀を取りだそうとした。モコナに至っては椿姫のフードにインである。顔は出しているが……

そんな椿姫と嵐詩を冬夜は片手で制止する。



「え……あぁ、おう」


罰が悪そうに頷いた少年に、冬夜は合点がいったようで微笑んだ。



『もしかして……孫悟空さん、ですか?』

「!?え、なんで……俺の名前?」


冬夜の発言に驚いたのは、悟空だけでなく椿姫たちもでまじまじと悟空の顔を見ている。



『……んー、話すと長いんですが、西へ旅するメンバー聞いてますか?』

「聞いてっけど、え……なんでそれまで!?」



エスパー?とか言い出した悟空に呆れた椿姫と嵐詩、苦笑した冬夜、笑うモコナ。




『実は、オレたちが、孫さんたちと一緒に旅することになっているんです。……いやぁ、偶然ですねぇ。』



と冬夜はヘニャっと笑った。

――…偶然なんてない、全ては必然……って言ってたのはドコのドイツだ。


と嵐詩は半目になりながら、冬夜とは逆のほうを見る。



「え!?マジで!!えー……と確か、なんだっけ?」


なんとか名前を思い出そうとしているらしいがなかなか正解を言わない悟空に痺れを切らし、嵐詩が

『藤原椿姫、那都、安倍冬夜、南嵐詩だ。』

と教える。
すると、悟空は そーだそーだ!と思い出したらしく、しばらく名前を繰り返した悟空は


「椿姫、那都、冬夜、嵐詩か!」


と呼び捨てにしたと思うと、自分で納得したように頷き出す。そんな様子に思わず微笑んだ冬夜は



『因みに、そちらの無愛想な人が椿姫、こっちが嵐詩、オレが冬夜で、こちらはモコナです。』

「え!?那都ってやつは?つか、なにそれ!」

『那都は今頃、孫さんの居た所にいると思います。モコナは……大切な仲間です。』



と紹介し、那都の事はサラッと答え、モコナの事は少し考えたがなんとなく良いように言った。
嵐詩と椿姫は、『(何って言われてもわかんないしな)』と話題が此方に来ないようにそっぽを向く。

モコナは小さく手をあげて


「モコナはモコナ!よろしくね!」


と可愛らしく挨拶する。悟空はそれにまた目をキラキラ輝かせて


「おう!よろしく!!」


と返す。
素晴らしい順応性である。



『……お前、もうちょっと疑うとかしねぇ?』

「へ?なんで?」


嵐詩の当然の疑問に本気でキョトンとしている。つまり、冬夜の言葉に何ひとつ疑っていないということになる。
嵐詩は言葉もなくただただ呆れた。



――…コイツ、モノホンの馬鹿だ。
普通、こんなんで信じねぇだろ……見ず知らずの、ありえねぇくれー馬鹿。
ま、これで演技だったら大したもんだわ。



『(フフ、物凄く単純でイイコですね。)』

『(……ただの馬鹿な。)』


嵐詩と冬夜は目が合い、アイコンタクトで冬夜は微笑む。嵐詩はそれに肩をすくめて返す。そして冬夜がまた笑う。



『……そろそろだな。』



椿姫がボソリ、と呟く。もうそろそろ地面で、悟空は慌てているが、それを一切無視して、冬夜の能力を使い、4人とモコナは無事に地面に着地した。


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