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新月の夜



椿姫は、冬夜を呼び出した



『逃げよう』

『っ!……本気、ですか?』

『このままじゃ、もう駄目だ』


決心した椿姫はどうやっても動きそうになく 至って真剣な眼差しを見て、冬夜は苦笑いする



『わかりました。オレも最後の最期まで付き合いますよ』

『……助かる』




―――――…



『おらっ!起きろぉー馬鹿猫』

『うおおう!!……な、なん、なになに!?』


いつも通り寝ていた那都の布団を嵐詩が乱暴に剥ぎ、小さく声をかける。
那都は驚いたが、上手く受け身をとり、辺りを見回した。嵐詩を見つけた那都は


『なんなの!まだ夜中じゃん!』


と声を荒げた。



『静かにしろ。馬鹿!今からでかけるんだとよ』


とっさに那都の口を塞いだ嵐詩が小声で言う


『……へ?今から?』


落ち着いた那都の口から嵐詩は手を離すと那都が間抜け面で頭を傾げた。



――――…

それから数日後の三日月の夜




上空に浮かぶ船
先程までは静かだった船上は、打って変わって騒がしい
銃声・刀同士の当たる金属音・そして式の暴れる音



『っち……やっぱ、多いな』

『バレるの早かったですしねぇ』

『おおおお!うち全く状況理解してないのになんでこうなったの!!』

『うるさい 黙れ』



嵐詩は刀片手にハァァとため息を吐き、冬夜は式を出しながら鋼糸を操る。
敵さんに吹き飛ばされた那都は器用に着地し、双刀を構え直し、椿姫はイライラした様子で銃に弾を装填した。



『これじゃあキリがありませんね…』


と冬夜はチラリと地上を見る。
それだけで何かを察した嵐詩の顔が引きつる。



『……おい、お前 本気?』

『今までこうゆうときのオレが、本気じゃない時がありました?』



アハハとまるで冗談を喋ってるみたいに冬夜が笑う
まだ那都はなにも理解していないが、椿姫は把握したようでただため息を吐いた



『本気じゃなかったらよかったな』

『全くだよ』

『失礼な。これでも一番可能性のある逃走路ですよ』

『え、ちょ!みんなだけで話進めないでくれませんか!!』



嵐詩と椿姫はもう諦めたように頭を抱え、那都は把握してないけどそんな2人を見て不安そうにしている。
そして唯一、余裕のある冬夜が那都を抱きかかえた。



『うにゃっ!!』


『じゃ、行きますかぁ』

『ん』

『那都、暴れたら捨てますからね』

『えぇぇぇ!!』



3人は武器を仕舞うと、船から同時にヒョイッと身を投げた。



「なっ!」

「落ちたぞ!!」



敵さんたちの声を聞きながら、4人は地上へと落ちていく。





『にゃあああああいあああいあああいああああ!!!』


『っ!だから、那都暴れないで!』


『げ、冬夜離れんなっ!』

『冬夜!那都!』



空中で手を繋ぎ合おうとしていたとき、船からバズーガやら爆弾やらが4人に向けて放たれた。



『『『『!!』』』』



ドォンッ!




――――爆煙が消えた空には、もう4人は居なかった





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