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『――…っ!!』

『……っ冬夜!』



爆風で飛ばされた嵐詩と椿姫は、まず那都と冬夜を探す。だが、どこにもその2人が見当たらない。



『なんっで!!』

『あの馬鹿に冬夜がついてるってことだろ、なら安心だ』


取り乱した椿姫の横で目の光が消えた嵐詩が感情の籠もってない声で言う。
それを見た椿姫は、一回 目を瞑った。



『……嵐詩、下になにが見える?』

『屋敷。池がある』

『じゃあ、そこに落ちるように落としてお前も落ちてこい』



うん、と頷いた椿姫は自分の案を納得してるようで、嵐詩は呆然として椿姫を見た。



『お前、馬鹿?』

『馬鹿はアンタ。生きてなかったら、あの2人とも会えないでしょ』



その言葉に嵐詩は目の焦点があったようで、ハッと鼻で笑う。椿姫はそれが不快そうに顔をしかめた。



『……遠慮しねぇからな』

『…ノーコン、失敗したらぶっ殺す』

『おーおー、怖ぇこって』



それを合図に嵐詩は椿姫を池に向かって思いっきり蹴った。




『……あぁ、柄にもねぇ』




――――…



『……あれ、那都?那都?…あっちゃー、気絶しちゃいましたか。』


冬夜は那都を抱きかかえたままで、困ったように笑った。
続けて、辺りを見渡しても嵐詩と椿姫が見当たらないことに苦笑いする



『大丈夫かなあ…あの2人っきりで。』



大丈夫じゃないよね、と静かにため息をついた。


――なんとか逃げれはしたけど、ここ何処なんだろ



『とりあえず、無事に地上につかなくちゃ…ですね』



下を見た冬夜は、真下に流れている川に気づく。そして暫く考えたが、『なんとかなりますかね』と微笑んだ。



『痛くないといいけど……まあ那都は護らないと、』



――意識ない那都を怪我させただなんて、かっこつきませんしね



―――…



バシャン



『ったああ……アイツ、思いっきり蹴ったな!』


蹴られた背中をさすりながら、濡れた着物が重そうに水面から顔を出す。



バシャン


続けて嵐詩は椿姫の真横に落ちてきて、椿姫は顔にかかった水を手で拭く。



『っはぁ……冷てぇ』

『一回殴らせろ』

『なんっでだよ!!ちゃんと池に入ったじゃねぇーか!ホールインワンだろうが!』

『五月蝿い!そのルールなら池ポチャの間違いだろ、馬鹿犬!思いっきり蹴ったな!』

『思いっきりやれっつったろうが!あぁん?池じゃなくてあっちの屋敷にぶち込みゃよかったか!!』



池の中で、椿姫と嵐詩は取っ組み合いの言い争いを始め、そのまま椿姫は銃を出し、嵐詩は刀を抜いた。


そこに


「なんだてめぇら」

「どこから来たんでさァ」



同じような服を着た男たちが2人のいる池を囲み、刀を向けてくる。




『……どんだけやばいとこに落としてくれてんの。馬鹿犬の嗅覚は馬鹿並みだったんだな』

『てめぇがここに落とせって言っただろ、俺のせいにしてんじゃねぇよ、暴力女』


2人は本当に嫌そうに、面倒臭そうに彼らを見て椿姫が一言



『とある人たちに殺されかけて追われていて、船から飛び降りたら此処に落ちた。』


それを聞いた嵐詩が、あまりに突飛な事に吹き出したのは言うまでもない。



――――…



バシャアアアン



水飛沫のあがり、冬夜は川から顔を出して那都の無事を確認する。


『ぶはっ……』

『……………』

『……那都?』


腕の中の那都が、いつの間にか目を開けているが声を出さないことに困惑し、どうしたのかと顔を覗く。



『びっくりした!』


『オレがね』




あまりの出来事についていけてなかっただけのようで冬夜も呆れ混じりに水に濡れた髪をかきあげた。

那都は『あははー気絶してた?ごめん!』と笑うと立ち上がる。



『で、冬夜!2人は?』

『爆風のせいで離れ離れです。多分、そんな遠くないと思いますけど』


ニコッと笑った那都に冬夜が簡単に説明をすると那都が『え、』と固まる。



『あの2人だけじゃ心配ですが、大丈夫でしょう』

『大丈夫じゃない!!あの2人探しに行かなきゃ!』


と走り出した那都を止めるために冬夜が声をかけて立ち上がる


『待って那都……っつ!!』



だが、足を押さえ倒れ込む



『とっ、冬夜!!』


冬夜は、はははと苦笑いして駆け寄ってきた那都に申し訳無さそうに眉尻を下げた



『すいません、着水のときヘマしたみたいで……片足折っちゃいました』

『え、えぇ!ど、どうしよ、どうすればいい?運ぶ?運ぶよ、どこまで運ぶ?』


冬夜の告白に慌てた那都はオロオロと目の前をパシャパシャ動きながら、冬夜を担ごうとする。そのとき



「大丈夫ですか!空から落ちてきてましたよね、そりゃあ怪我しますよ!」

「柔な体アル、仕方ないからついてくるネ!」

「え、ちょ、ちょっとお前ら?なにする気?こんな怪しい奴らどうする気?」



眼鏡の少年とチャイナ服の少女と銀色、天パの男性が話しかけてきた。
冬夜も那都もその三人をキョトンとしている



「人でなしですか!見捨てる気ですか?怪我人ですよ、しかもっ」

「そうアル!銀ちゃんのヒトデナシ」

「ああぁぁわかったよ!わかった!ほら、」



いきなりなことに冬夜と那都がついていけてない内に三人の話がまとまったらしく銀髪の人が冬夜のことを抱き上げた



『え、いや!あ、あの!』

「いやじゃねぇよ。見てみねー振り出来ないだろ……うちのガキたちもこうなったら言うこと聞かねーし」


『と、冬夜大丈夫?死なない?怪我治る?』

「大丈夫ですよ、ちゃんと病院に」『びょ!病院は駄目です……あの、病院は…』

「は?なんでよ」

『ちょっとした事情があって…あのオレら駄目なんです…人に追われてて…船から飛び降りたんです。だから、』

「あぁー、わかったわかった。とりあえず、俺ン家な」


冬夜は足がかなり痛いけど、何から言えばいいかわからないが病院は駄目だと説明しなくちゃ、となんとか喋る。銀髪の人は、なにかを察してくれたようで冬夜は申し訳無さそうに黙る。


『ねぇ、大丈夫だよね。絶対、大丈夫…だよね?』

「そんな顔してたら大丈夫なものも大丈夫じゃなくなるよ?」

「とにかくついてくればいいアル!ついてこいィィィィ!」

『アッ、アイアイサーッ!』





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