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「名前さん。良かったらクリスマスイヴに食事でもどうですか?」

「えっ?いいけど……」


それはいきなりの事だった。
教室で友達と喋っていると、白馬君に呼ばれどうしたんだろうと思いながらも向えば、ニコリと微笑まれイヴの予定を聞かれた。

無いと答えると今の突然のお誘いが来たのだ。

まぁよく喋る仲だし、彼氏がいるわけでもない私は特に断る理由が無い。
でも何故私なのだろうか。
他の女の子からいっぱい誘われているだろうに。


「では25日、楽しみにしてますね」

「私でいいの?」

「名前さんがいいんです」


そう言うと、彼は私の手の甲にキスをした。一気に顔に熱が集まり、見られない様に俯く。

今日も白馬君はキザだなぁ。


なんて、誰かが不機嫌そうに見ている事など知るよしもなく。




放課後、帰る準備をしていると、誰かが近づいて来た雰囲気に顔を上げた。


「黒羽君」

「よっ!」


ポケットに突っ込んでいた片手を上げ、笑顔でそう答えた。


「どうしたの?」

「おめーさ、25日暇?」

「え、クリスマスイヴ?」

「おう」

「青子ちゃんは……?」

「え?なんでそこで青子が出てくんだよ!俺は名前に聞いてんのー!」

「ああっ、ごっ、ごめん!えっと、白馬君とご飯に行くんだ……」

「ふーん。あいつ優先するんだぁ」

「え?いや、そういうわけじゃ……先に約束しちゃったし……」

「じゃあ24日!」

「ごめん家族と過ごすの……」

「ええーっ!!」

「ごめんってええっ!」


そんなやりとりをしていると、どこかへ行っていた白馬君が教室に戻って来た。


「どうしたんです?名前さんを虐めないで頂きたいんですが」

「白馬君!」

「いじめてねーよ!別に、なんも」

「……そうですか。では、名前さんと帰っても?」

「勝手にしろ!」

「ご、ごめんね黒羽君……!」


特に帰る約束はしていないのだが、腰に手を回されもうなんか一緒に帰る雰囲気になってしまった。


「楽しみですね、25日」

「あ、う、うん……」


ニコリと微笑んだ白馬君に、今言わなくてもいいのにとチラリと黒羽君を見れば、案の定不機嫌そうな顔をしていた。

気まずくなって目線を前に戻そうと視界から外した瞬間、何故か黒羽君はにやりと笑っている気がして、ハッとまた目を向ければ、彼はもう後ろを向いていた。


「どうしたんです?」

「あ、いや別に……!帰ろ!」

「送って行きますよ」

「ありがとう!」





「……白馬のやろー。名前はぜってー渡さねぇ。いい事考えちゃったもんねー♪」




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