幸かす

2012/06/11 09:47


現ぱろ




暑さで溶けかけたアイスが手首を伝う。もったいない気持ちから、それを舐めとる。と、向かい側に座るかすがと目が合った。

「かすが殿?いかがなされた」

「…なんでもない」

そう言って彼女もアイスを食べ続ける。
のだが、妙に顔が赤い。まぁ夏なのだし、暑いからだろうと幸村も溶けかけたアイスを食べるのを急いで再開した。

(わ、私は何を考えて…うう、お叱り下さい、謙信様!)

「あ!」

どこかで聞いたらような台詞を心の中で呟き、かすがもアイスに集中しようと心がけたのだが…うまくいかなかったようで、アイスは無惨にも、地へと落ちたのだった。

「…私のアイス…」

「また買いにいきましょう」

「あ、ああ…」

そう笑う幸村の表情を上手く見れないのは、きっと暑さのせいだ。そんな事を考えながら床に落ちたアイスをティッシュで拭き取っていた。


(決して見とれてなんていない)




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