Gift | ナノ
!七星様サイト一周年企画
前作の続編
!黛千尋成り代わり



周囲の目など気にせず、自分の部の主将である赤司の首根っこを片手で掴んだまま引き摺っている名前は洛山に割り当てられた控え室に辿り着いて扉を開けた。

「監督。只今戻りました」
「遅かったな・・・何をしてるんだ。黛」
「赤司が他校の部員に(鋏を突き付けるという)迷惑を掛けようとしたので(手荒な手段で)止めたら気絶してこうなりました」

洛山の監督である白金監督は名前と名前に首根っこを掴まれている赤司を見て顔を引き攣らせた。
実渕、葉山、根武谷を始めとする部員達は顔を蒼褪めさせて赤司相手に何を考えてるんだ!と視線で訴えている。

「黛。一先ず気絶をしている赤司を起こせ」

監督は額を抑え、名前に気絶している赤司を起こすように促した。
彼はごく普通に起こしてくれる筈と踏んだのだが名前が赤司相手に優しく起こす筈もない。

「・・・起きろ赤司。部員の士気を上げるのも主将の仕事だ」

名前は気絶している赤司の脳天に手刀を容赦なく叩き落とした。
女子の名前がこんな風に赤司を起こすことなど想定してなかったのか、白金監督はそんな起こし方をする奴がいるか!と声を荒げているも当の本人は知らないフリをしている。
名前の容赦ない手刀で叩き起こされた赤司は痛みで頭を押さえつつも勢いよく起き上がった。

「此処は一体・・・」
「洛山の控え室。お前が馬鹿をしでかす前に止めたんだからな」

辺りを見渡す赤司は名前が掛けた言葉に何が起こったのかを瞬時に理解して憤怒の形相で名前を睨み付ける。

「名前!僕の見せ場を邪魔するんじゃない!!」
「あ?見せ場もクソないだろ。
お前が問題を起こす前に止めたんだから感謝して貰いたいね」
「感謝するしないの問題じゃない!!」

赤司の言い分を容赦な切り捨てるく名前の表情は冷ややかだ。
その表情を見た部員が小さく悲鳴を上げる。

「それよりも早くラノベが読みたいんだからさっさとしろよ」
「お前の優先順位はラノベか!」
「少なくとも(厨二病を患っている)お前の相手をするよりは有意義だ」
「それでも名前は高校三年か!?全国の受験生に謝れ!!」

控え室でゴタゴタしている(主な原因に赤司と名前の夫婦漫才もどき)に誠凛と桐皇の試合開始時間になり、ミーティングも碌に出来ないまま試合会場に移動することになった。


閑話。


WC初日の(とても下らない)騒動など起こっていないかのように洛山は高校最強らしく試合を優位に進め、準決勝まで問題なく勝ち進み、その相手は赤司と同じ"キセキの世代"の一人である緑間真太郎を擁する秀徳高校だ。

準々決勝を終えた洛山は控え室で反省会と準決勝に向けた簡易的なミーティングが行われていた。
主な内容は準決勝で名前と相性の悪い"鷹の目"を持っている選手がいるため、視線誘導は使えない。
よって名前は目立たない選手としてに試合に臨むことなるという確認事項だ。

「名前。お前は普通の選手として動いて貰うぞ」
「分かってる。第一、赤司サマの言うことは絶対だろ?
ちゃんと聞くからそう念を押すな」

冗談で言ったのか、本気で言ったかは定かではない名前の発言に洛山の部員は唖然とする。
赤司も名前が思いがけないこと発言に驚いたがそれを隠すように分かればいい、と言って簡易的なミーティングを終わらせ、宿泊しているホテルに戻るべく控え室を出た。




「・・・む。赤司か」
「!真太郎」

廊下で洛山は秀徳と出くわした。
明日の対戦校だけに両校の間に緊張が走る・・・かと思いきや。

「本の角で殴られた頭は大丈夫か?」
「ああ。でもあの後名前に手刀をお見舞いされて・・・」
「失礼な。何度も言うが主将のお前が問題を起こす前に止めたんだぞ」

緑間が心配そうに(その様子に秀徳勢がざわめいているが本人は気付いていない)赤司をいたわり、赤司が遠い目をして答える。

「黛さんってラノベの好きなオタクで体力なさそうって思ってたけど案外行動的なんスね〜」

それを見てケラケラ笑った高尾の(空気の読めない)の言葉に名前は片方の眉を上げ、高尾の前まで歩くと彼の前に立った。
高尾は何故名前が自分の前に立ったのか聞こうとしたら片手で両頬を掴んで顎を持ち上げられた。
それによって高尾は名前の顔を見て今自分が口走ったことが彼女の地雷だったことを悟ったが時すでに遅し。

「・・・その五月蝿い口を今すぐ縫い付けてやる」
「ぬっ・・・!!」
「安心しろ。こう見えて家庭科の成績は筆記実技共にいいからすぐに終わる」
「ちょ、黛さん!そんな恐ろしいブラックジョークは止めてよぉぉぉ!」
「女の子がそんなことを軽々しく言っちゃ駄目よ!!」
「怖すぎて逆にこっちの士気も下がっちまうだろーが!!」

名前の口走った"口を縫い付ける"というのをうっかり想像したのか葉山は表情を蒼褪めさせ、それを見た実渕と根武谷が葉山の代わりに叫びながら注意をしている。
名前は後輩三人の言葉を受けて少しの間黙考すると高尾の頬を掴んでいた手を離した。
高尾は解放されると一目散に緑間の後ろに人見知りをしやすい子供のように隠れた(シュールというツッコミ入れてはいけない)

「スマン。高尾も悪気があって言ったんじゃないから・・・」
「主将なのに冗談が過ぎる後輩のしつ・・・礼儀くらい叩き込ませるくらい出来ないのか?」
「・・・今"躾"って言いかけなかったか?」
「気のせいだよ」

大坪のフォローに対して名前は笑みを浮かべるも目は全く笑っていない。
機嫌が悪いという理由で試合を投げ出すほど名前は不真面目ではないが何かしらの形で高尾に倍返しをすると言い残して赤司達の所に戻った。

「ね、ねぇ!真ちゃん!!あの人の言っていること冗談だよね!?そうだって言って!!」
「・・・少なくとも黛さんは赤司に対して堂々と文句を言える人だから何かしらの覚悟をした方がいいのだよ・・・おは朝には既に見離されているがな」
「真ちゃん!!不吉なこと言わないでぇ!!」

高尾は半泣きになりながら相棒に助けを求めるべくひっつくも、緑間本人は嫌そうに高尾を押しのけている。
秀徳がギャーギャー騒いでいる中、騒動を起こした張本人は涼しい顔をしている。

「黛さん。まさか彼に言った"倍返し"を本気でするつもりじゃないわよね?」
「さぁな」
「名前はテツヤと違って冗談と本気を使い分けるから性質が悪いと思うんだが・・・」
「赤司、口は禍の門って言うだろ。
愉快犯みたいなアイツには丁度いい薬になると思うぜ?」

ニヤリと笑う名前に洛山と秀徳の面々は"名前だけは死んでも敵に回したくない"と戦慄したそうな。

  我が道を進む新型六人目
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というわけで私の誕生記念として執筆して頂きました!
去年といい今年といい本当に有難う御座いますw
黛成り代わり主は私も大好物で、ずっとニマニマしてました!
良いぞ主人公もっとやれ!(笑

20140721