Gift | ナノ
!黛成り代わり



帝光バスケ部"幻の六人目"黒子テツヤの基本性能を上回る"新型の幻の六人目"黛名前は洛山高校男子バスケ部唯一の女子選手。

故に周りの目を引きやすいと思われがちだが、影の薄さを利用しているのか目立つことはなかった。
夏の全国大会でデビューを果たした彼女はこのWCでも選手として出場する。
諦めていたことが叶った最初で最後の夏の大会に出場することが昔のことのように思えた。

そんな彼女は現在進行形で会場内を歩いている(片手に愛読のライトノベル"時計仕掛けの林檎と蜂蜜と妹"の最新刊があることにツッコミを入れてはいけない)
会場内を歩いている理由は自分達洛山高校男子バスケ部の主将、赤司を探して来いと監督に頼まれたからだ。
面倒事は引き受けたくないのだが、監督に頼まれたであるのなら断るワケにはいかない。
名前は憂鬱さを感じつつも会場内を探すが目的の人物は見付からない。
闇雲に探しても埒が明かないと考え、名前は人に聞くことにした(お約束の如く毎度毎度驚かれる)

「ああ、洛山のジャージを着た選手なら外に行ったよ」
『・・・外?』

人に赤司の行方を聞いて歩いて数分後、やっと有力な情報を手に入れて会場の外を出て歩いてみればカラフルな頭を見付け、そっと近付いてみれば赤司が緑間から鋏を借りる所に遭遇した。

『おい。赤司・・・』

声を掛けようとしたら赤司はその鋏で誠凛の選手、火神に鋏を突き付けようとした。
それを見た名前は持っていたライトノベル(何度も言うが愛読している"時計仕掛けの林檎と蜂蜜と妹"の最新刊)の角で赤司の後頭部を思いっ切り殴り飛ばして、鋏を奪い取ったと思ったら首筋に手刀を叩き込んで気絶させた。
本の角と手刀で殴られて気絶した赤司は名前に首根っこを掴まれている。


その行動、僅か数十秒。


突然のことでその場にいたキセキと火神、降旗は驚いて飛び上がった。
そりゃあいきなり現れた人間、しかも女性が火神に鋏を突き付けようとした赤司を(手荒な手段で)止めたのだから当然と言えば当然なのだが。

『赤司が迷惑を掛けたな』
「い、いや・・・。特に迷惑は掛けていません」

名前は取り返した鋏を緑間に返した。
声を掛けられた緑間は戸惑うも差し出された鋏は今日の蟹座のラッキーアイテムなので(首根っこを掴まれている赤司を見ないようにして)素直に受け取った。

『本当か?遠慮せずに言ってもいいぞ。赤司には告げ口しないから安心してもいい』
「いやアンタがそう言っても全然安心出来ねーんだけど」
『別に怖いことはないぞ』

緑間の言葉に名前は遠慮することはないというも、紫原は赤司に把握出来ない事はないと話すが名前は表情一つ崩さない。

「いやいや、赤司っちは怖いんスよ!
アンタ赤司っちが怒ったり、逆らうと怖いことを知らないんスか!?」

黄瀬が必死に抗議するも名前は鼻で笑って気にするなんて馬鹿げてると吐き捨てた。

『別に。赤司は高一の癖に厨二病を煩っているせいで色々大変なだけで怖いことは何一つない。
この前も何かのオンラインゲームで"レッドエンペラー"なんてハンドルネームをつけていたし、アバターも似たような感じでドン引きしたな。
何で此奴が女子に"赤司様"って呼ばれて人気あるのか不思議でならない。
強引で自分が正しいとか、勝利が全てだとか・・・ふざけるなって思った』

本人が気絶しているのをいいことにノンブレスで言いたい放題いいまくる名前に場の空気が凍りつく。
キセキ達はあの赤司に暴言を吐いている事実を痛感して顔を蒼褪めるも名前本人はお構いなしだ。

『だから初めて会った時にこうやってラノベで思いっ切り殴った』
「な、殴ったぁ!?」
『ああ。一日に最低一回は殴っているぜ』

一日に最低一回は赤司を本で殴る言ってのける名前に対して黒子、黄瀬、緑間、青峰、紫原の五人は戦慄した。


赤司君を一日一回は殴っているなんてある意味凄いですね・・・。
赤司っちにああも文句を言えるなんてこの人怖い物知らずっスね・・・。
あの赤司を躊躇いもなく本の角で殴る、だと・・・。
赤司を簡単に尻に敷くなんて恐ろしい女だな・・・。
赤ちんに逆らうなんてスゲーし・・・。


帝光時代、優れたカリスマ性で(逆らえない恐怖政治ともいう)自分達を率いた赤司に対して好き勝手出来るなんてこの女は一体何者なんだろうかと色々と思うことはあったがそれを口にしてはいけないと思い、どう答えたらいいか口籠っていた。

『ところでお前等"キセキの世代"だろ?』
「・・・ええ。それが何か?」

名前に話し掛けられて黒子は困惑の表情を浮かべた。
どんなことを言われるのか内心で様々な感情が渦巻いているからだろう。

『赤司の暴君振りにどう対応すればいいと思う?』

悪気のない質問だがそれをお前が言うな!!とキセキ五人は思った。

此処まで置いてきぼりの火神と降旗はどうすればいいか顔を見合わせるも余計なことを言って話をややこしくしない方が賢明だと本能が告げたのか、黙って名前とキセキのやり取りを見ていた。

『もう全員戻っていい。
赤司には今後余計なことはするなと言い聞かせておくから安心していい』

会場の外にある時計を見て何かを思った名前はキセキにそう言い残すと、気絶した赤司を引き摺って会場の中に消えていった。
強烈な出来事にキセキ、火神と降旗は唖然とするも、それを忘れるかのようには自分達のチームメイトの下へ戻っていった。


因みに殴られて気絶した赤司が気付いたのはそれから数分後だという。


更に余談だが彼等が名前が赤司が見出した"新型の幻の六人目"と、赤司が彼女に想いを寄せていると知るのは数日後の話。

  ある意味最強な新型六人目
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本当にいつもお世話になっています、今回の小説も爆笑して読ませて頂きました(*^^*)
mailでもお話していましたが続編希望です、最後まで読んだ後思ったのは「スクロールバー仕事しろ!」でしたけど!
本当に有難う御座いました(^^)

20140518