過去企画 | ナノ

!『花雪』
!100,000hit企画13続編
!片想い?



「あれっ?幽ちゃんじゃん!
ひっさしぶりー!」
「・・・寿さん」


つい先程まで海外にて長期ロケを終えた羽島幽に声をかけたのは寿嶺二。
デビューしてから何かと話しかけてくるので、すっかり友人関係となっている存在である。

彼の声を聞いて幽は「ああ、帰って来たのだな」と実感する。
・・・やはり住み慣れた日本が一番だ。


「最後に会ったのって一ヶ月位前だっけ?
元気だった?」
「はい。
昨日まで海外で仕事だったので寿さんだけでなく皆さんに会うのは久しぶりですね」
「うわっ海外!?
良いな良いなー!何の仕事してたの!?」
「映画です」
「へー!
じゃあ映画が公開されたら絶対に観に行くね!」
「有難う御座います。
・・・チケット渡しましょうか?」
「っダメダメ!
こういうのは自分で買わないと!」
「・・・そうですか」


此処までの会話で嶺二は明るい笑顔から少し怒ったような表情と、随分感情表現が豊かであるのだが、一方の幽は全く表情筋が動いていない。
普通の人間なら此処で居心地が悪くなってすぐに去るのだが嶺二の場合はそんな気配を一切感じさせない。
というより立ち去るとは真逆の行動を嶺二はしようとしていたのだが。


「・・・寿さん、今お時間ありますか?」
「あるけど、どっかしたの幽ちゃん?」
「いえ・・・少し話し相手として付き合って頂けますか?」
「!勿論!」


とても帰国直後とは思えない彼女の姿に嶺二は二つ返事で了承したのだった。



  ♂♀



「幽ちゃんって今好きな人とかいないの?」
「・・・それ、よく聞かれますが今はいません」
「えー!?幽ちゃんこんなに美人なのに口説かれたりしないの!?」
「(・・・えっと)僕の事より寿さんはどうですか?」
「ぼく?
・・・内緒だけどいるよ好きな人!」
「・・・え、」


一瞬動揺した様子を見せた幽を敢えてスルーし、嶺二は会話を続けた。


「その娘(こ)はねー、とっても綺麗でお人形さんみたいに可愛くて他の人には分からないって言うんだけど優しくて・・・」
「・・・」
「でね口数が少なくていっつもぼくが話しまくっちゃって誰かに止められるまで話を続けていた事なんてしょっちゅうだったし」
「・・・そうですか」
「うん!
で、後は演技が凄く上手で一回台本を見ただけですぐに演じられるし・・・」
「・・・はい」


何で私、惚気に付き合っているんだろうか・・・。

幽は内心表情筋を引き攣らせながら嶺二を見つめていると、彼は幽がこれまで見た事の無い、幸せそうな笑顔を浮かべた。




「―――そしてぼくが知る中で一番、放っておけない娘なんだ」
「・・・・・・」




それは、嶺二をよく知る人間が聞けば確実に誰の事を指しているのか分かる台詞だった。
だが生憎それを聞いたのは彼女一人だけで。


「・・・寿さんの想いがその人に届くと良いですね」
「(・・・あ、やっぱり気付いてない?)
うーん・・・ただその娘、凄く鈍感でね・・・何で気付かないの!?って言いたくなる事なんていつもだし・・・」
「そうなんですか」
「うん」



彼の想いが届くまで後、―――。

  君に届け、My恋心!

200,000hit企画第六弾は綾崎様に捧げます!今回も参加して下さり有難う御座います(*^^*)
嶺二夢という事ですが・・・偽物で無い事を祈ってます(汗
否アニメとか研究しているんですがね、不安は尽きないです。
大変遅くなってすみませんでした!これからも宜しくお願いします!

20130619