過去企画 | ナノ

!アニメ設定
!途中から裏方スタッフ視点



「・・・本当にやるんですか」

栞は自身が所属する事務所の社長と"彼ら"が所属する事務所の社長の二人に黒曜石の双眸を向ける。

「勿の論デース!!」
「Miss幽なら必ず出来ると俺は信じてる!」

・・・同じテンションの持ち主が揃えば此処まで面倒臭くなるとは。
考えなかった訳ではないけど、此処までとは・・・。

・・・秘書さんとか大変だなあ。

えーと・・・とりあえず、台本見よう。

栞は台本のタイトルを見る。
其処にはデカデカと『羽島幽がST☆RISHにドッキリ企画!』と書かれていた。

「・・・・・・」

「ドーウデスカー?Miss羽島、この仕事受けてクレマスカー?」

・・・なんか凄い圧力感じるんだけど!
うわぁぁぁ、何でだろ今迄受けてきた仕事の中で一番嫌な予感がする!


「・・・そういったキャラクターを演じることは可能ですが」


栞は結局、"彼ら"の社長―――早乙女の圧力に屈服したのであった。



  ♂♀



「幽さん、メイク終わりましたよ」
「有難う、ルリさん」
「いいえ!」

ルリの一言に目を開けると栞が瞼を開けると其処には薄らとメイクを施された自身の顔。

平和島栞ではなく、芸能人としての羽島幽が鏡に映る。


「・・・じゃあ、行ってきます」

幽は専属スタッフに一言添えると、楽屋を出て行った。



  ♂♀



皆さん初めまして。
僕は今日の撮影のスタッフの一人として此方、あの羽島幽さんがリポーターを務める番組に参加しています。
先程、初めて生の羽島さんを見ましたがテレビで見るよりも美人で凄く吃驚しました。

無表情ではありましたが僕の様な新人のスタッフにも挨拶をしてくれて、凄く丁寧というか礼儀正しいというか・・・そんな印象を受けました。

・・・あ、撮影が始まるようです。


「皆さん、こんばんは!
今回の企画リポーターはこの僕、羽島幽です!
今日はあの大人気アイドルグループST☆RISHにな、なーんと!
ドッキリを仕掛けていきたいと思います!!
皆はST☆RISHを知っていますよね!
僕も勿論知っていますが、まだお会いしたことが無いんです!
こんな形で出会うとは僕も思っていませんでしたが、まあある意味忘れられない出会いになることは間違いないでしょう!

ではでは、まずはこの二人から行きましょうか!」



・・・・・・え、誰ですか?

僕は思わず凍り付いてしまったのですが悪くは無いと思う。
だって・・・・・・だって!全っ然違うでしょう!


ケース@一十木音也&来栖翔の場合

「まずはドッキリの中でも定番中の定番!寝起きドッキリです!
今回は、彼らの所属する社長さんにも協力して貰い、仕事の関係で相部屋で寝ているという一十木音也君と来栖翔君の寝顔を収めたいと思います!
二人を起こしてはいけないので、僕の声を少し抑えていますがテレビの前の皆さん、聞こえていますか?


・・・ではでは早速行きたいと思います!」

羽島さんはポケットから一つの鍵を取り出すと、ニヤリと何処かあくどい笑顔を浮かべました。
撮影前の彼女を知る者から見れば、いつもの無表情はどうしたんですか、と突っ込む位のイイ笑顔でした。

「この鍵は彼らの社長さん―――あのシャイニング早乙女さんからお借りしたものです!
この鍵を使って今から二人の部屋に侵入していこうと思います!
皆さん準備は良いですか?」


すみません準備出来ていません!
ていうか羽島さん変わりすぎです!!
本当に演技ですか!寧ろそっちが素なんじゃないですか!?





・・・僕の突っ込みも虚しく、羽島さんはテキパキと鍵を難なく開け、侵入する。
勿論僕も含めたスタッフも後に続いて。


「(小声)カメラさんこっちでーす。
皆さんお分かりになりますでしょうか?
左のベッドにいるのが一十木君、右側が来栖君のようです。
さぁ、寝顔を撮った後にドッキリを遂行しましょう!」

羽島さんが素晴らしい笑顔を振りまきながらカメラを手招きし、ST☆RISHのお二人を存分に撮らせる。
・・・それにしても凄い寝相。
あの赤い髪・・・えーと一十木君だっけ、お腹出してるし。
来栖君?に至っては掛け布団が床に落ちてるし。

・・・あ、羽島さんが何か取り出した。
って、あれは、えー・・・・・・。

「さぁ、寝顔と寝相を存分に撮らせて貰ったので、ドッキリを仕掛けたいと思います!
内容は只起こす訳ではありません!
今僕が持っているのは早乙女さんからお借りしたもので、音が派手に鳴り響くというバズーカを一発放ちたいと思います!」

勿論、火薬なんて一切入っていない。
其処はちゃんと僕たちが調べた。
だってあのシャイニング早乙女の私物だし。

しかも、羽島さんが今回使用するということで女性用にちゃんと改良されているらしい。流石。

「ではいきますよぉー・・・!
3、2、1、・・・!GO!!」

瞬間。
この部屋に居た全員の鼓膜が破れるのではないか、と思う位の音が響いた。


〜〜〜〜〜〜〜!!
有り得ない・・・。

「―――ッ!!」
「なッ・・・!?」


・・・何というかやっぱり二人ともリアクション所の騒ぎではないらしい。
身構えていた僕ですら、凄い音だったし。

耳を両手で押さえながら上半身を起き上がらせた二人はキョロキョロと視線をあちこちにズラす。
あ、今目があった。

「え・・・え?」
「は、羽島幽!?
っていうか、何で此処に!?つか何でカメラが!?」

茫然としている一十木君はさておき、来栖君の方は何というか面白い。
最初に羽島さんの方に意識がいき、次に僕達へと。
バラエティに映えそうな子だなぁ。


目を白黒させている二人に羽島さんは見るもの全てを虜にしてしまいそうな位の笑顔を浮かべ声高らかに一言。

「ドッキリ大成功ー!」


・・・あ、二人とも目が点になった。

Next≫

すみません一旦区切ります!

20120524