過去企画 | ナノ

一十木君と来栖君のドッキリが終わり、事情を簡単に説明された後二人は未だに事態を理解していなかったみたいだが羽島さんは鬼の進行で二人を別室で待機するように言いつけた。

そして次の部屋に向かうことに。
うわぁ、少し位待っててあげても良いんじゃ、と思った僕はまだまだなんだろうか。


ケースA聖川真斗&神宮寺レンの場合

次の二人はファンの間では御曹司組と呼ばれているらしい。
・・・なんて安易な。しかし、分かりやすい方が良いか。

「先程の二人の呆気にとられた表情はまさに小気味が良い・・・いえいえ清々しいものでしたね!
では次に行きたいと思います!
次のドッキリを受けて頂くのは聖川真斗君と神宮寺レン君です!」

羽島さんは先程の破壊力溢れる音等、全く効いていないかのようにリポーターを務めている。
僕を含め、他のスタッフは全員耳を押さえていたりしているのに凄いなぁ。


「では今回のドッキリは先程と少し趣向を変え、この方をお呼びしました!
どうぞ!」

羽島さんが手で指し示した方を向くと、えらくグロテスクな・・・人、とは呼び難い何かがいた。
・・・・・・・・・え?

「―――!?」


ええええええええええ!!?
ちょ、え、は・・・!?

・・・・・・あ、もしかしてマスク・・・?


僕の目の前には怪物のマスクを着用したスタッフの人が。
手には斧(多分偽物。しかしよく見ても本物にしか見えない)を持っており、其の姿ははっきり言って警察に通報しても良いレベルだ。

「皆さん驚きましたか?
この怪物のマスクですが、実は僕の専属スタッフさんが作ってくれた一品なんです!
いやぁ、凄いですね!
間近で見ても本物の怪物にしか見えません」

・・・確かに。
意識がはっきりとしている僕ですら吃驚したんだから、寝起きの彼らなんて一溜りも無いだろう。

「彼らは夜遅くまで仕事をしていたらしく、早乙女さんがよく眠れるようにとあるお茶をお渡ししたそうです。
なので、彼らはぐっすりと眠っていることだと思います。
そんな安眠中の彼らの目の前に彼が現れたら、どんなリアクションを見せてくれるでしょうね?

僕は今、凄く興奮しています!」

本当にこの人、こっちが素じゃないの?

・・・あ、もう鍵開いたんだ。仕事が速い。流石です。


そして、カメラマンが侵入して其の映像を見ていて、もしかして使用人が見張っているんじゃ、と思ったけど大丈夫みたいだった。
そりゃそうか。でないと番組が成り立たないし。

「(小声)僕から見て右側が神宮寺レン君、左側に居るのが聖川真斗君のようですね。
いやはや、女の僕が見ても思わず綺麗と思える位、顔立ちが整っていますねー羨ましいです」

・・・貴女も大概美女ですよ。
しかも撮影以外の様子を見てたら人形めいているから余計に。

「寝顔も撮れたようですしではこの辺で彼を部屋に入れていこうと思います!
さぁ、皆さんしっかり見ていて下さいね!」

別室で羽島さんも含めて僕達は映像を眺めていたのだが、彼らのリアクションは面白い。

少しずつ音を立てて、彼らを起こす作戦でいくと最初に聖川君が起きた。
・・・と言っても寝惚けている感じだったけれど。

「・・・おい神宮寺、五月蝿、い、ぞ・・・・・・」

あ、固まった。

「な、な、な、なななな・・・・・・!?」

聖川君の青い目が徐々に見開き、壁際に後退りする。
・・・何か面白い。

「さぁまずは聖川君が目を覚ましました!
しかし神宮寺君が一向に目を覚ましません!
彼は寝起きが悪いのでしょうか!?」

羽島さんの声が徐々に上がっていく。
確か聖川君のキャラって寡黙っていうイメージがあったけど、突発的なアクシデントにはやっぱり耐えられないのかな。
何か臨機応変に対処出来なさそうって思うのは僕の勝手なイメージだけど。

「神宮寺君のリアクションも見たいので、彼に叩き起こして貰いましょうか!」

羽島さん・・・貴女ホントに鬼ですか。
寝込みを文字通り襲うなんて・・・。

って、ホントに叩き起こした。
うわ、容赦無い。
彼、羽島さんに何かしたの?
でも、彼らとは面識無いってさっき彼女言ってたしな・・・。

「っなんだ聖川・・・起こすならもっと優しく・・・!」
「俺の筈が無いだろう!
というより後ろだ神宮寺!」
「後ろ・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」

・・・声も出ない位驚いている。
ぎょっと目を見開いて、ベッドから飛び跳ねた神宮寺君に羽島さんは嬉々として実況する。

「さぁ漸く目を覚ましてくれました!
ではそろそろクライマックスに向けていくとしましょうか!
襲い掛かって下さい!」

・・・其の時の羽島さんの表情はとてもイイ笑顔でした、とだけ言っておきます。
羽島さんは笑顔なのに、あの二人は文字通り修羅場を体験していました、とも。


「うわ!」
「くっ、何処から入ってきたんだ!?」

どったんばったん。
彼らの部屋は文字通り戦場と化した。



  ♂♀



「「・・・・・・ドッキリ・・・?」」

心身共に満身創痍の彼らは突然現れた羽島さんに、先程の一十木君達と同様、茫然自失としていた。

「はい!
貴方達の事務所の社長、早乙女さんから鍵を拝借し、ドッキリを遂行させて頂きました!」
「・・・あの人は・・・」
「ボス・・・此れは無いよ・・・」

深く深く項垂れている二人に羽島さんは一言。

「理解してくれたようなので、彼らも別室にて待機してもらいます!
ではでは行ってらっしゃーい!」

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マスクは勿論ルリ作。
製作中、きっと真剣に、でも楽しく作ったのではないかと。
後レンは就寝の服装で何も着用しないと公式にありますがこの話では無視しています。

次で最後です。

20120524