過去企画 | ナノ

むかーしむかーし、一つの王国がありました。

その王国には神通力を持った七人の妖精?あ、魔法使いが住んでおり、人々を祝福し病気を治しいろんな予言をして暮らしている魔法の王国だったのです。


そのうち一番年老いた魔法使いがふっつり姿を消してしまい、そして一人の年若い魔法使いが現れました。
王国には今までと同じ七人の魔法使いが暮らし、今までと同じように人々と暮らしたのです。
この国は王と王妃が国を良く治めようとしましたが、子が一人もいませんでした。
・・・いなかったのは子供が出来にくかったとかじゃなくて・・・確実に不仲だったからだよね・・・。
何でこの組み合わせにしたんだよおっさん!
そんなある日の事、王妃様は美しい女の子を生みました。

幸せに満ちた宮殿では幼き姫の為に大切な儀式が執り行われています。

小さな姫君へ美徳の贈り物を一つずつ授けようと森から招かれた魔法使い達。
確か「優しさ」「元気」「寛大」「鷹揚」「勇気」だったっけ?
・・・何か、彼女の事を考えると「表情筋」「感情」も必要だったんじゃないか、「音也?」うわああごめんトキヤ!!


「綺麗な黒髪!将来が楽しみです!」
「ふん、俺としては甘い物を大量に作れるような女であって貰いたいものだ」
「面倒くせえ・・・つか肉!肉はねーのか?」
『・・・私なんかが此処にいても良いのか?』
「何言ってるんだよセルティ!
君は必要とされている存在なんだからそんな気弱な発言しないで!!」
「わあ、いつも以上に纏まりが無いねーこの組み合わせ」
「ていうかおい嶺二、お前早く贈り物の内容を決めろ」
「もうちょっと待ってランラン!今考えてるの!!」
「早くしろ愚民が」

宮殿の大広間は六人の魔法使いの為にそれぞれの席が設けられ、宝石で飾られたナイフやフォーク、スプーンがおかれ、黄金の器やお皿にご馳走が盛られていました。
魔法使い達は目の前で繰り広げられている乱闘から身を縮めながら会話します。

・・・ちなみにBGMはこの儀式を企画した二人の怒号だったりするんだけど。

「死ね臨也ぁあああ!!」
「あーもう何でシズちゃんと俺が王と王妃役なわけ?
ていうかどっちが王妃役?」
「知るか!」

「静雄、臨也もう止めなよ面倒臭い」
『せめて此方に被害が来ない事を祈るだけだな』

細々とそんな会話をした魔法使い達が席に着いたその時、一陣の風とともに一人の老婆?や、此処は老人かな?が現れたのです。
それは、いなくなった筈の年老いた魔法使いでした。

「ミーナサーン!
楽しーんでマースカー!?」
「!?」
「サオトメ!?」
「シャイニーさん!?」

王も王妃も真っ青になりました。
その魔法使いは一番強い力を持ち、そして何より激しい気性の持ち主だったのです。

「シズちゃんほらなーんか君と同じ位化物っぽい人が現れたよ?
・・・ていうか今花瓶から出てきたよね?可笑しくない?体積があってないし」

がっしゃーーん!

「知るか!死ね!」

ぱりーんっ

・・・・・・真っ青に、なってないなあ・・・。
あーもう!二人共!一時休戦!ほら早く劇に戻ってってば!

「コイツが笑いながらトラックにはねられたら考えなくもない」
「あははシズちゃんこそはねられてしまえば・・・あ、もうはねられてるか」
「(ぶちっ)」

『・・・其処までだ静雄、臨也。
年下に悟されている時点で恥ずかしくないのか!?』
「セルティ!?」
「・・・はあ。死にたくなる位嫌だけど仕方が無いか」

「ウーン、美しい友情デース!
ミーはとてもとても感動シマシタ!
という訳でェ、ミーを含めた全員でこの王女様を祝福しちゃいまショウ!!」
「・・・何で彼が取り仕切ってるの?ていうか友情?誰と誰のこと?
あはは俺とシズちゃんの事だったら辺り一面焼け野原にでもしちゃいそう」
「臨也、突っ込んだら負けだと思うよ」

よ、良かった何とかなって・・・。
えーと、最後の魔法使いの掛け声により魔法使い達は一人一人、王女に祝福を贈りはじめました。


最初の魔法使いは、王女が世界中で一番美しい女性になれる祝福を。
次の魔法使いは、王女が天使の心を持てる祝福を。
三人目の魔法使いは、何をするにも驚くほど優雅にふるまえる祝福を。
四番目の魔法使いは、誰よりもうまく踊れる祝福を。
五番目の魔法使いは、どんな鳥よりも美しい声で歌える祝福を。
六番目の魔法使いは、どのような楽器も見事に演奏出来る祝福を王女に贈りました。


そして年老いた一番最後に現れた魔法使いの番になりました。

・・・下手な一般人より貫禄があって怖いんだけど。

一同が静まり返る中、魔法使いは杖の音を響かせながら、王女の前に進みました。

「そーうデスネー・・・ではユーは、十五の年に紡ぎ車の針に指を刺され、命を落とす事になるデショーウ!」

社長・・・じゃない、魔法使いは恐ろしい呪いを口にしたのです。

「な、」
「えええシャイニーさん!?」
『!?栞ちゃん』

一気にパニックになった会場でしたが、一番取り乱したのは王と王妃・・・あヤバ、


「・・・あ゛ぁ?てめえ、栞になんつー口を聞いてんだああああ!!」
「うわー静雄の栞ちゃん溺愛ぶりは相変わらずか・・・」
『そんな事を言っている場合か!』

「凄いです!魔法を使ってないのにあんな重たい物を持ち上げているなんて!」
「おい待て!メシが落ちるじゃねえか!くそメシ時位静かにしやがれ!!」
「黒崎今はそれどころではない!」
「うわああ流石池袋最強と言われるだけあるね!ていうかシャイニーさんといい勝負?」

・・・この場合王妃と言って良いか分からないけど・・・えーと錯乱している王妃や王女を守るように集まった魔法使いを見ると意地悪そうに笑い、突風を巻き起こして消えたのです。
これだけ言うと凄い事なのに、おっさんがやるといつもの事で済まされるんだよね・・・。りんちゃん達お疲れ様!

「HAHAHAHA!!ではではサーラバでーす!!」
『・・・・・・・・・』

「えーと・・・」
「今はあんなヤツどうでも良い!
栞は無事なのか!?おい新羅!!」
「其処で私なんだ!?」
『早くしろ新羅、栞ちゃんにもしもの事があったら・・・!』
「っ任せてセルティ!!とりあえず服を」
「っ栞に触んな!!」
「どんな無茶ぶり!?」



  ♂♀



「うーんどうやら今のところ身体に異常は無いね」

くたくたになった衣装を整えつつ、魔法使いはそう診断しました。
まるで医者みたいだ

すると其処で、重い扉を開く音が派手に響きました。
扉の向こうから勢いよく走ってくるのは一番若い魔法使い。
あ、やっと起きたんだね翔

「うるせえ!
ぜえ、ぜえ・・・おい皆!祝福はまだ残ってるぜ!」
「遅れてきておいて何を偉そうにしているのだ」
「つか挨拶も無しか」
「ショウ、息切れが・・・水を飲んで下さい」
「うっ!!」
「あはは翔たん此処寝癖がついているー」
「うううう」

一通りいじられていた若い魔法使いでしたがはっと思い直したのか、すぐに王女の前に立つと王と王妃に向かってこう告げました。

「俺にはおっさん・・・あの魔法使いの言った事を取り消すだけの力は正直無い。
だけど変える事は出来ます。
王女様は針に指を刺されますが命を落とす事なく、眠りにつくだけ。
そして百年後、一人の王子によって目覚めるのです。」

若い魔法使いの祝福は、王女の未来を約束するものでした。
しかし、娘を想う王妃はそう簡単に安心出来ませんでした。

「ちっ、ノミ蟲じゃ信用出来ねえ。
こうなったらこの国全てにある紡ぎ車を燃やちまうか。
後糸を紡ぐのも辞めさせて、持ってた時の事も考えて―・・・」

「・・・なああの人池袋最強だよな」
「とてもテーブルを持ち上げていた人と同一人物とは思えません」

翔、セシル!
それは思っても言っちゃいけない事だから!

Next≫
  

更に続きます。一Pで纏められないってどういう事。

20131128