夜の商店街は
同じ顔の人がいっせいに口を閉ざしたように見えて
なんだか気味が悪い
スポットライトのような電話ボックスで
青年か中年かわからない背の高い男が
背中をふるわせて泣いている
芝生が夜空に染まって青緑色になった公園のベンチに
白いワンピースの女が座っている
横断歩道の上では別の女が
口からねばっこい血を流して死んでいる
ストッキングが伝線している
黄色い信号が
狂った月のようにゆっくりと点滅している
空に手を伸ばして
暗闇をつかむ
静けさが胃の中にしみこんだ





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